白老町は22日、2022年度の各会計予算案を発表した。一般会計は21年度当初予算比で3億8000万円増(3・7%増)の107億円を計上し、5年連続で100億円台を維持した。新型コロナ対策を推進する「安心」、道路改修など生活基盤の充実を図る「充実」、町立国保病院改築など「未来への投資」をキーワードにした事業費を多彩に計上。過去10年間で3番目に大きい予算規模とした。
一般、特別、企業の9会計の予算総額は21年度当初予算比6億5400万円増(3・5%増)の195億8785万3000円。特別養護老人ホーム事業特別会計については、町立の寿幸園を4月から民営化するため廃止することにし、予算額をゼロとした。
一般会計の主な歳入で町税は、償却資産の減価償却による固定資産税の落ち込みなどを見込み、0・8%減の23億4967万9000円を計上。地方交付税は21年度交付実績などを考慮して9・6%増の37億6000万円、交付金関係は6・6%増の6億4440万円とした。
一方、歳出は、給与費や一般行政経費、公債費などの経常経費を0・3%減の86億8905万1000円円とし、政策予算の臨時事業費は20億1094万9000円を計上。予算編成方針で掲げた政策テーマ「安心・充実・未来への投資」に基づき、道路や橋、老朽公共施設の改修費を積極的に盛り込んだことで、今年度当初予算比で25%増(4億205万円増)とした。
臨時事業は継続98、新規45の計143事業。主な事業では、24年5月開院予定の新しい町立国保病院建設に向けた実施設計費などの費用(病院事業会計への操出金)約6580万円を計上。老朽化した子ども発達支援センターの大規模改修費約3940万円も新規に盛り込んだ。
北吉原中通りなどの町道、JR竹浦橋跨(こ)線橋や白老橋、美園・青葉団地などの町営住宅の改修事業費も多彩に盛った。また、高齢者(70歳以上)の自動車運転免許の自主返納をサポートするため、返納者に対し町内のバスやタクシーの利用回数券を支給する事業費を新たに計上。石山地区ライラック団地の大排水路に水位計センサーやカメラを設置し、大雨災害に対応する監視システムの導入費や、ヨコスト湿原の環境調査費なども新規に入れ込んだ。
さらにアイヌ民族関連では、アイヌ文化保存・伝承・発展活動推進費、伝統文化伝承拠点となる多機能型生活館整備費などアイヌ政策交付金活用の13事業費も計上した。
予算案について戸田安彦町長は「民族共生象徴空間(ウポポイ)関連事業への傾注で、これまで予算確保が難しかった施設改修など町民生活に密着した事業に力を入れたい」と述べた。
町は3月8日開会の町議会定例会3月会議に予算案を提出する。