千葉県出身の浅野浩司さん(41)が今月、安平町の地域おこし協力隊に就任した。町内で起業を目指す人を発掘する「Fanfare(ファンファーレ)あびら起業家カレッジ」に合格し、この春、早来地区にカフェをオープンさせる計画。「来た人がホッとできるような場所をつくっていきたい」と意気込む。
浅野さんは高校を卒業後、県内のホテルでコックとして働いた後、1年間フランスで修業を積み、札幌市内でバーテンダーとして酒類について勉強。直近は東京都内で讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を運営するトリドールで接客や人材教育、会社経営のノウハウなどを学んできた。
その一方で、「妻が道内出身ということもあって、いずれは移住したい」という思いがあり、起業家を発掘する町の取り組みを通じて「町の気持ちも感じたし、町内を走っていてもいい景色がいっぱいある」と家族4人で移住を決めた。
「都市圏はいろんなものが集中して働きやすさや便利さはあると思うが、自分の時間をつくるのが難しい」と浅野さんは言う。地域のまちなかにカフェのオープンを考案したのは、「スコーンと開けたような空間や脳を休ませるような時間をつくる場所がまちなかにあれば」との思いからだった。
最初は町が早来地区に整備したチャレンジショップの施設を活用して、4月にもカフェをオープンさせる予定。おいしいコーヒーや地元の食材をふんだんに使ったスイーツやベーカリーなどを提供する。「ゆくゆくは店舗を構えたいし、キッチンカーを稼働させたり、トレーラーハウスを設けて素晴らしい景色を見ながらお茶を飲み、脳を休ませるような空間をつくりたい」と構想を描く。
その傍ら「朝助」と銘打って、農家など地域住民の仕事を手伝ったり、一緒に朝食を食べる機会をつくったりしてコミュニティーや信頼関係を構築しようと計画中。町政策推進課は「早来地区には、子ども園に子どもを通わせるお母さんたちが気軽に立ち寄れる場がこれといってなかった。カフェができれば町の回遊交流の場にもなる」と期待を寄せ、「浅野さんの人柄としても、地域になじんでいけるのでは」と話している。