胆振東部地震で倒れた木の丸太や倒壊家屋の解体材を循環、再生させることを目指す厚真町民ら全国のメンバーでつくる「ATSUMA96%PROJECT」は20日、製品の紹介を行うオンラインイベントを開いた。町内外で林業や木工業、木材搬出業者らが、廃材などを活用した製品作りの事例を紹介した。
同プロジェクトは、2018年9月に発生した胆振東部地震で被災した木に、新たな命をデザインの力で吹き込もうとスタート。その過程で町内の若手林業や木材加工を手掛けるメンバーらでつくる一般社団法人「ATSUMANOKI96」が昨年6月に同町で発足し、地震で倒れた木や被災した家屋のがれきを木工製品として再生させる活動を展開している。
今回のイベントは、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を活用して開催。「もったいない」をテーマに情報交換を行い、廃材を加工して食器にしたり、丸木を製材して床や壁、テーブルなどに活用したりする取り組みを紹介。馬の力を生かして木材を搬出する「馬搬」の事例も挙げた。
木材を中心に素材・製法にこだわらない製品を作るろくろ舎(福井県)の酒井義夫さんは、新製品として「売ることを主題にするのではなく、町でしっかりと使ってもらえるようにできないか」と木の根元の部分を使った自転車のスタンドを提案。現在、作品を試行中で「チェーンソーさえ使えれば、誰でもできる」とアピールした。
また、同法人が今後の展望として、DIYなどのワークショップやカフェの機能を持たせた活動拠点を、2年後に旧店舗を活用して厚真町にオープンさせる考えを明かした。