白老町は、2022~27年度を期間とした第2次商業・観光振興計画案を取りまとめた。アイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の開業効果を取り込みながら、地元商業、観光の振興を図る施策の方向性を示した。計画には、27年度の観光入り込み客数を20年度実績比で約2倍の350万人に引き上げる目標値も盛り込んだ。
白老には滝や湖など豊かな自然、古くから受け継がれてきたアイヌ文化、国指定史跡・白老仙台藩陣屋跡など文化遺産があり、20年7月にはウポポイも開業した。そうした多様な観光資源を生かし、地域の観光業や商業の活性化を図るために町は、第1次(16~19年度)に続く新計画を今年度内に策定し、4月から運用する方針だ。
取りまとめた計画案では、▽自然や歴史、食、温泉など白老の魅力を求め、何度も訪れたくなるまち▽商店街に多くの人が集まり、にぎやかで活気のあるまち―を目標に掲げ、施策の方向性を定めた。
基本事業は(1)魅力ある観光地の形成(2)魅力ある地域資源の活用(3)訪れやすいまちづくりの整備・充実(4)新たな誘客への取り組み(5)商工業の活性化(6)中小企業振興と創業支援(7)産業連携の推進と投資意欲の醸成(8)商港区の利用促進―の8項目を設定。それに基づく観光分野の具体的戦略として、地域の食材やアイヌ文化を取り入れた商品開発や飲食メニューの提供、町内温泉施設の利用促進策の立案、地域ブランド認証制度の構築、交流促進バスを活用した観光周遊策の推進、アヨロ鼻灯台周辺の観光促進策の実施、道の駅設置の検討―などを示した。
情報発信や集客、周遊策は、年内に観光地域づくり法人(地域DMO)本登録を目指す白老観光協会が中心となって推進。地元旅行商品も立案・販売し、観光地としての魅力を高める事業に取り組む。
商工業や中小企業振興の戦略としては、既存商店街活性化策の実施、融資制度や助成制度の充実、創業支援制度の実施―などを盛り込んだ。
計画案には目標値も設定。最終年度の27年度の観光入り込み客数を350万人としたほか、観光消費額は20年度実績比で約7割増の160億円に増やすとした。また、白老に2回以上訪れるリピーター観光客の割合を27年度までに70%にするという目標も立てた。
町は計画案に対するパブリックコメント(意見公募)を3月2日まで実施し、「ウポポイ開業効果を生かしつつ、さまざまな施策の展開で白老の商業、観光の活性化を図りたい」としている。