安平町は7日、ソフトバンクとトヨタ自動車などが共同出資する「モネ・テクノロジーズ」(本社東京)と連携したモビリティサービス(自動車による移動サービス)の実証実験として、マイナンバーカードの出張申請受け付けをスタートさせた。同社で運用し、車内のレイアウトを柔軟に変更できるマルチタスク車両で各地区の公民館などに出向き、カードの申請を受け付け、町内の取得率向上を図る。
町によると、町内でマイナンバーカードを取得するには、申請と交付の際にそれぞれ庁舎まで足を運ばなければならない。しかし、今回の出張サービスはマルチタスク車両を使用することで、写真撮影を含む申請手続きを車の中で短時間かつ一括で行うことができる。カードは郵送されるため、町民の手間を省くことができるという。
初日は早朝から、遠浅公民館に住民が続々と足を運び、22人が手続きを済ませた。最初の利用者となった金久保信義さん(87)は「マイナンバーカードは作らなければいけないと感じていた。写真撮影も無料でやってくれるし、家のそばまで来てくれて手続きできるのでいいと思う。こういうサービスがあれば、年寄りには非常にありがたい」と笑顔を見せた。
町は3月10日までの間に、公民館や会館など14カ所をマルチタスク車両で巡回する。直近では8日に安平公民館、9日に早来町民センターで申請を受け付ける。時間は午前10時から正午までと午後1時から同3時まで。日程や会場の詳細は町の広報で紹介している。町内のマイナンバーカード取得率は約30%にとどまっており、町政策推進課の担当者は「出張サービスでは10分ほどあれば手続きができる」とアピールする。
町と同社は、2019年2月にパートナーシップを締結。自動運転車両の普及に向けた次世代運行サービスの施策に取り組んでいる。モビリティサービスの実証実験では今月下旬から、スーパーなど町内店舗とも連携し、商品を電話で注文すると指定の場所に送り届ける買い物支援(宅配)サービスも計画している。