とまこまい広域農業協同組合(JAとまこまい広域=本所厚真町)がむかわ町穂別地区で運営する「Aコープ穂別店」が15日に閉店し、約60年の歴史に幕を下ろした。これで生鮮商品を扱う同地区の店は3店舗となる。
同店は1960年ごろ、旧穂別町の大型スーパーとして開業し、地域住民の生活インフラの一つとして営業してきた。しかし、急速な人口減少に加え、2018年9月に発生した胆振東部地震で旧事務所と店舗が大規模損壊。被害を受けた後は、仮設の店舗で売り場面積を縮小してやりくりをしてきた。さらにその後、新型コロナウイルス感染症の影響にも見舞われた。
閉店については存続を望む声もあったが、消費者が減少している状況などから改善のめどが立たず、昨年12月に閉店する最終決断を下した。地元の石崎代里子さん(58)は「入りやすかったし、地元のお店として存在感は大きかった。無くなるのは残念」とため息をつく。
最終日は、これまでの感謝の思いを込めて商品を半額で販売し、200人を超える買い物客が閉店を惜しんで訪れた。「これが最後だな」「寂しいね」との思いを受けながら午後3時、最後の買い物客が店を出るのを見届けて扉に鍵を掛けた。同店の小嶋央店長は「店長として約3年、周りのスタッフに教えてもらいながらやってきた。まだ閉店の実感がないですね」としみじみ語った。
穂別地区の買い物希望者には、今後厚真店からの移動購買車で対応する。宮田広幸組合長は「地元の皆さんが不便にならないように十分配慮していきたい」と話す。最後は感謝の言葉で従業員をねぎらった。