安平町が胆振東部地震からの「復興のシンボル」として掲げる早来中学校と、老朽化した早来小学校を一体化した新たな校舎の建設が10月の完成を目指して、急ピッチで進んでいる。町教育委員会は今年度中に全体工事の3割強程度の完了を見込んでおり、現時点での進捗(しんちょく)状況はおおむね順調。2023年度に誕生する小中一貫の義務教育学校の開校と並行して準備に余念がない。
町内では18年9月に発生した地震により、高台にあった早来中の校舎の壁に亀裂が入ったほか、体育館やグラウンドが使えなくなり、入学式や卒業式、体育祭などができない状態になった。震災から3年たった今も校舎はなく、在校生の中でも3年生はプレハブの仮設校舎で3年間を過ごした。
これを受けて町は「元に戻すだけではなく、前よりも良い学校をつくる」と老朽化した早来小と一体化した新校舎の建設を掲げ、義務教育学校にする方向にかじを切った。
新校舎の建設は、現早来小の隣接地で昨年7月に着工。校内の教室は自由にレイアウトできるように従来より広いスペースを確保しているほか、ホームルームの教室とは別に教科ごとに教室を用意する。図書室は町民にも開放。音楽室(スタジオ)や美術室(アトリエ)、家庭科室(キッチン)、イベント会場としても使用できるアリーナは、学校と地域が共用できる環境として整備する。
新校舎は今年の10月に完成した後、早来小、中学校の児童、生徒が既存の校舎から引っ越し、来年1月の3学期に新校舎で学校生活を迎える予定。4月からは安平、遠浅両小学校も含めた早来地区全体の義務教育学校として、スタートを切る。
町教委は「まずは春に3年生になる生徒が、3学期だけでも新しい学校で過ごし、卒業式を迎えられるようにしてあげたい」と話している。