アイヌ民族文化財団(札幌市)と札幌大学(同)は13日、アイヌ文化の振興に向けた連携協定を締結した。同財団が管理運営する白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)に札幌大の学生を研修で受け入れるなどして、アイヌ文化の担い手育成に取り組む。
協定には担い手育成のほか、アイヌ民族や海外先住民族に関する調査研究、アイヌ文化の普及啓発、先住民族間の交流促進―なども盛り込んだ。ウポポイを運営する同財団と、アイヌ民族の歴史や文化の教育研究に取り組む札幌大が手を組み、それぞれの強みを生かして伝統文化の復興と発展を目指す。
同日、ウポポイで行われた調印式には、札幌大の荒川裕生理事長と本田優子教授、同財団の常本照樹理事長や対馬一修副理事長、民族共生象徴空間の斉藤基也運営本部長が出席。協定書にサインした荒川理事長は「本学のアイヌ教育の歩みがさらに進むことになり、意義深い。北海道の未来にも貢献していきたい」と述べ、常本理事長も「研修生の受け入れや講師の派遣などを通じ、文化の復興と発展に向けて共に取り組みたい」と力を込めた。
ウポポイの舞踊チームと学生との交流も既に始まっており、学生らは今後、同チームの指導を受けながら伝統舞踊の技や知識の学びを深める。
札幌大は、アイヌ民族の歴史・文化の教育活動を特色とする私立大。新年度から「アイヌ文化スペシャリスト養成プログラムasir(アシリ)」を開設するなど、伝統工芸の専門家の育成を目指した教育プログラムも展開する。