白老町議会の「人口減少に対応する政策研究会」(大渕紀夫座長)は12日、町役場の議事堂で地元文化芸術団体との懇談会を開いた。町内で今年度、「白老文化芸術共創」と銘打ったプロジェクトを展開した白老文化観光推進実行委員会(熊谷威二会長)など3団体から活動状況を聞き取り、アート事業が移住定住や関係・交流人口の創出につながる可能性を探った。
懇談会には、団体側から同実行委員会の中村諭事務局長と栗栖マキ事務局員、町文化団体連絡協議会の竹下和男会長、NPO法人しらおい創造空間「蔵」の毛笠史寛会長が出席。「若者の定住策」をテーマに政策の調査研究に取り組む同研究会所属の議員と意見交換した。
同実行委の中村事務局長は、日本の美や芸術を世界に発信する文化庁の「日本博」事業の予算を活用し今年度、アーティストの作品展やシンポジウムを開催した経緯を説明。芸術で表現した地域の多様な文化を観光のまちづくりに生かす「文化観光」の重要性を指摘した。若者の移住促進に向けては、「文化芸術活動で地域の魅力を高め、移住先として選ばれるまちになることが大切」とし、関係・交流人口の創出も促すアート事業を推進したい―と述べた。
同実行委の「白老文化芸術共創」のほか、町内で毎年開催されている飛生アートコミュニティーの飛生芸術祭やウイマム文化芸術プロジェクトの運営に携わる栗栖事務局員は「アート事業によって全国各地から多くの人が白老に足を運び、経済効果も生んでいる。白老が好きになり、移住した人もいる」とし、地域活性化を促進するアート活動の意義を話した。
NPO法人しらおい創造空間「蔵」の毛笠会長は、町本町の文化施設「蔵」を拠点に音楽コンサートなどさまざまな文化活動に取り組んでいる状況を説明。「コロナ禍にあっても文化芸術は不要不急ではない」とし、心に潤いを与え、人と人をつなぐ文化事業の必要性を強調した。また、今年春からは生涯学習の新たな事業を展開し、まちの魅力を高めていく考えも示した。
一方、町内の文化活動をめぐる課題に関する意見も出た。秋の文化祭を主催する町文化団体連絡協議会の竹下会長は、各文化サークルのメンバーの高齢化について説明し、「高齢になってサークルを辞める人もおり、若い世代もなかなか入らない」と現状を説明。若者たちに目を向けてもらうため、文化活動を活性化させる環境整備が必要とし、「民族共生象徴空間(ウポポイ)には立派なホールがある。これを活用し、地元の子どもたちの演奏会などができれば」と述べた。
同研究会は3団体の意見を参考に、人口減少対策の調査研究を深める。