白老町は8、9両日、歴史姉妹都市の仙台市で、白老をPRするイベントを開催した。戸田安彦町長をはじめ、白老民族芸能保存会や白老観光協会の関係者らが同市を訪問。アイヌ民族の伝統楽器ムックリの演奏や特産品の販売、PR動画の上映などを通じて白老観光やアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の魅力をアピールした。
PRイベントは、両自治体の歴史姉妹都市締結40周年を記念し、昨年3月に続いて開催。JR仙台駅近くにある複合ビルAER(アエル)のアトリウム2階イベントスペースで開いた。
会場には、ウポポイや白老観光のパンフレットなどを並べた情報発信コーナーを設置。虎杖浜たらこ、白老牛ハンバーグといった食の特産品や、アイヌ文様刺しゅうを施したハンカチ、トートバッグ、マスクなどの販売コーナーも設け、人気を呼んだ。
また、町が制作したPR動画「アナザースカイ・白老」を上映。インクラの滝やポロト湖、倶多楽湖など白老の豊かな自然とウポポイの全景をドローン(小型無人飛行機)で撮影した映像を流し、来場者の関心を引いた。ステージでは白老民族芸能保存会の山本スナ子さんと山田弘美さんがムックリの演奏とウポポ(座り歌)を披露し、白老で受け継がれてきた伝統のアイヌ文化を発信した。
イベントには戸田町長をはじめ、町役場職員や白老観光協会、白老民族芸能保存会の関係者ら計7人が参加し、運営に当たった。初日のあいさつで戸田町長は、先住民族アイヌの文化や歴史への理解促進を訴えたほか、歴史姉妹都市の仙台市との絆、交流を一層深めたい―と述べた。
町は当初、2日間で1200人程度の来場を見込んでいたが、予想を上回る2000人が会場に足を運び、にぎわいを見せた。運営に携わった町アイヌ政策推進室の江草佳和さんは「多くの仙台市民にアイヌ文化やウポポイなど白老の魅力に理解を深めていただけたと思う。引き続き白老PRの活動に取り組んでいきたい」と話した。
幕末の仙台藩が白老に北方警備の陣屋を築いた歴史を縁に、白老町と仙台市は1981年5月に歴史姉妹都市を締結。昨年5月に迎えた40周年の節目を記念して町は今年度、仙台藩白老元陣屋資料館での特別展「仙台藩ゆかりのDATEな工芸展~受け継がれた美意識と伝統の技」などを展開した。