白老町認知症の人と家族などの会(平野弘会長)は8日、認知症患者の個人賠償責任保険加入に対する支援制度を創設するよう町に要望書を提出した。認知症患者が外出先で事故などトラブルを起こし、家族に損害賠償を求められる事例が各地で起きている中、平野会長は「患者や家族を支えるために実現を」と求めた。
個人賠償責任保険は、認知症患者が日常生活で他人にけがを負わせたり、事故を起こしたりして、相手から求められる損害賠償に対し補償するもの。患者が外出したまま行方不明になった際、捜索費用を補償する保険サービスもある。高齢化の進展で認知症を患う人が増加する中、保険料の一部や全額を負担する支援制度を設ける自治体が増えている。
戸田安彦町長に要望書を提出した平野会長は「認知症の人と家族が安心して暮らせるよう支援してほしい」と求めた。これを受け、戸田町長は「みんなで支える社会づくりは必要。できるところから一緒に取り組んでいきたい」と述べた。
国の調査によると、認知症患者は2012年時点で462万人で、65歳以上の高齢者の15%だった。しかし、25年には約700万人に増え、割合も5人に1人の20%程度になると推計している。白老町でも患者は増加傾向にある。町によると、要介護認定に必要な主治医診断で認知症とされた町民は20年度で324人を数え、「潜在的にはもっと多いのではないか」とみている。