むかわ町の穂別高校3年の原口竜治さん(18)が総合型入試で公立千歳科学技術大学に合格した。同校によると、平成以降では昨年度に続く5人目の国公立大学合格者で、2年連続は初めて。同校関係者は「1学年10人程度の地方の高校ではなかなか難しいこと」と喜びに沸いている。
原口さんは高校に入学後、恐竜化石などについて学び、小学生らに伝える中で「地域に貢献したい」と考えるようになった。昨秋から学校の授業だけでなく、放課後の時間を使って担任の武田幸大教諭(33)から個別指導を受けるなど、こつこつと受験対策をしてきた。
試験では、書類選考による1次を通過した後、受験生同士で課題解決についてグループワークをして発表する2次で、パワーポイントを使いながら率先して意見を出した。合格通知は今月9日に届き、「授業中に話を聞いたのであまり実感がなかったが、家に届いた合格証明書と書類を見てようやく実感が湧いてきた」と当時を振り返る。
穂別地区には専門の学習塾がなく、最近、鵡川地区に公営塾ができたが、穂別の市街地から車で40分ほどかかり、日常的に通うのは難しい。このため3年生10人はそれぞれ、学校独自の指導で進路を実現させようと努力をしている。原口さんは「少人数だからこそ、付きっ切りで見てくれる先生がいた」と感謝の言葉を口にし、指導に当たった武田教諭も「何でも前向きに頑張るし、地域との関わりを大事にしている子。地域の方々に育ててもらいながら成長していった」と頑張りをたたえる。
「将来はソフトウエア技術者として、生まれ育った穂別に貢献していきたい。VR(仮想現実)技術を使って、恐竜のいた中生代を再現できたら」と語る原口さん。合格の余韻に浸ることなく、すでに将来の夢に意識を向けている。進学に備えて自主的に勉強を再開しており、「まずは知識を増やしていきたい。そして、学んだことを穂別にどのように還元できるかを考える。それがスタートです」と意欲は尽きない。