安平町内の産業廃棄物処理業者「DINS北海道」が早来北進で計画を進めている産業廃棄物最終処分場の建設をめぐる問題で、町民有志でつくる「あびらの自然を守る会」(内藤圭子代表)は1日、安平公民館で及川秀一郎町長と町民の意見交換の場を設けた。及川町長は「今、計画している建設地は絶対に駄目な場所。胆振東部地震後、危険な場所になっていることを道などに訴えていかなければいけない」と強調し、参加者との結束を強めた。
最終処分場の建設計画は、DINS北海道に改名前の旧リブロックにより2014年ごろから動きだしたもの。当時から町や町民が反対の意思を見せていたが、事業者は16年に胆振総合振興局に許可申請を提出し、17年に同振興局から許可を受けた。その後、震災の影響もあって中断していたが、事業者が昨年、複数回の住民説明会を開催。町や町民は一貫して「反対」の意思を示し、平行線の状態が続いている。
1日の意見交換の場で、町は建設予定地が18年9月の震災後、道の「土砂災害警戒区域」に指定されていることを指摘。「土砂災害が発生した場合に住民の生命、身体に危害が及ぶ恐れがある」とし、及川町長は「住民同意を軽視する事業者に不信感がある。事業者の一方的な考えで、町民の権利と財産を簡単に渡すわけにはいかない」と語気を強めた。現在調査を進めている地震の影響が及ぶ地形データなどをまとめ、専門の研究者や弁護士の協力を得ながら抗戦を進めていくことも明らかにした。
町長はさらに「この問題は、安平町だけの問題ではない。人の住んでいない地域にある日突然、計画されることがどこの自治体にもある」と注意を促し、他の自治体にも情報発信していく考えだ。
同会では、21日に専門家を招いて意見交換を図る場を予定している。