北洋大野球部外野手の高杉大夢(4年)=北海道栄高卒=と主務の大嶋日茉梨(同)=札幌大谷高卒=が、今月中旬まで行われた道学生野球1部秋季リーグを最後に引退した。たった2人の最上級生で後輩たちを立派にけん引。新型コロナウイルス禍のシーズンを春季3位、秋季2位タイの好成績で終え、新チームに飛躍の道筋をつくった。
苫小牧市出身の高杉は「小学2年生から野球を始めて、一番時がたつのを早く感じた4年間だった」と振り返る。与えられたメニューをこなした高校までとは異なり、大学は短い練習でいかに自身を成長させるかを考えながら過ごす日々だった。
昨年秋に北海道日本ハムファイターズで活躍する伊藤大海(24)ら頼もしい上級生が抜けた。戦力は大きく下がり「やっていけるか正直不安だった」が、「後輩たちのおかげでみんな仲良く、楽しいシーズンを過ごすことができた」と感謝する。
新型コロナの影響で現役最後の試合は秋季リーグ第4節(上川管内愛別町)の函大戦となった。1回戦こそ落としたが、続く2回戦は「新チームのためにどうプラスで終えられるかを考えた」と一回に犠飛で貴重な打点を挙げ、3―1の接戦勝利に貢献。後輩たちに大きな財産を残した。「3年生以下は一人ひとりの意識が本当に高い。自信を持って頑張ってほしい」と期待する。
卒業後は道内の社会人チームで競技を続ける予定。「野球人としても人間としても、もう一回り大きくなっていきたい」と意気込む。
大学3年から北洋大に転入した大嶋は「最後は全国大会に出場して終わりたかった」と悔しさをにじませる。自身は今年6月の全日本大学野球選手権(東京都)に学生運営者として参加。「次はみんなで」との思いは人一倍強かった。
チームはもちろん、道学生野球連盟の運営にも大きく貢献した。昨年、同連盟の公式ツイッター(@hokkaido_6)を開設し、各試合の速報などを他大学と協力しながら細かく発信。加盟校の選手写真などを音楽に合わせて紹介する1分間のイメージ動画も作製し、今年の秋季リーグで披露した。
感染症拡大防止のため、一般の観客は入場できなかったが「出場選手や保護者から拍手が起きたときはうれしかった」と笑顔を見せる。
チームは春、秋と一定の成果を収めたが「満足せず課題を感じて終わってほしい。来季は『去年の経験があったから強くなった』と思われるようになって」と後輩たちにあえて厳しいエールを送る。卒業後も運営側として野球に携われる道を模索していくという。