新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の20日解除が決まったことに対し、苫小牧市民の反応はさまざまだ。飲食店観光関係者らの間に人出回復への期待の声がある一方、「コロナが収束したわけではない」「密を避けた生活を続けなければ」といった冷静な意見も目立つ。
「ワクチン接種が進み、飲食街に人が早く戻ることに期待したい」と語るのは「創作居酒屋 隠味―かくみ―」(錦町)のオーナーシェフ小杉佳紀さん(36)。「延長、解除にかかわらず政府の決定が遅く、それに対応せざるを得ない飲食店は大変で、不安も大きい」と強調。「家賃や水道、電気代といった固定費に対する補助金を今後も検討してほしい」と訴えた。
ホテル杉田(表町)の佐藤聰代表(55)は「4~5月の(客室)稼働率はコロナ前の2019年に比べ6割程度にとどまったが十分な感染防止対策を講じた上、飲食店が通常営業し、観光施設も再開すれば宿泊者数の増加につながる」と期待。「ワクチンの接種の加速により感染者が減り、観光需要が回復してほしい」と願った。
日新町で美容サロンを経営する傍ら、美と癒やしをテーマとしたイベント「美とまるしぇ」を定期開催してきた石澤ともみさん(51)は「ようやく準備を本格化できる」と胸をなで下ろす。イベントは19年5月から奇数月に開催し、コロナ流行後はオンラインで行ってきた。7月下旬の次回は対面形式に戻したい考えだったが「緊急事態宣言が解除されなければ難しく、やきもきしていた。コロナ下で不安な今だからこそ、心が安らげるようなイベントにしたい」と意気込む。
一方、ノーザンホースパーク(美沢)は感染拡大防止と来場者、スタッフの安全確保の観点から休館を継続し、再開は7月中旬を予定。マーケティング室の担当者は「安心して馬との触れ合いを楽しんでもらえるよう準備を進めたい」と語る。
音羽町の主婦佐々木良美さん(73)は「宣言解除はワクチン接種がもう少し進んでからの方が安心だが、飲食店など大変な業種のことを考えると妥当な判断」と歓迎。屋外でのスポーツが趣味で「外出自粛の生活はつらかった」と振り返りつつ、「引き続き感染対策には十分気を配る」と気を引き締めた。
苫小牧高等商業学校3年で、生徒会長の内藤菜都さん(17)は「日々の感染者数にむらがあり、ワクチンが十分に行き渡るまでは宣言を続けてほしかった」と本音を吐露し「再び、(感染拡大の)波が来ないか心配。これまで通り密を避けて生活したい」と話した。
苫小牧工業高等専門学校5年生の満保睦さん(19)は「(緊急事態宣言の長期化で、学生も)友達との交流や部活動といった貴重な時間も奪われてしまった。まだコロナは収束していないが、少しずつ失ったものを取り返したい」と述べた。