安平町内で5月から、ヒグマの目撃情報が多発している。今年はすでに昨年同時期の4倍以上となる20件余りが寄せられ、町は対策本部を立ち上げるなどして注視。今後は農作物の生育に合わせ、ヒグマの動きが活発になることが予想されることから、注意を強く促している。
目撃・足跡などの情報は、5月7日に追分春日地区の農業者から「熊の足跡を見つけた」と連絡があって以来、同月28日までに19件(追分の春日、弥生地区で13件、瑞穂地区で4件、守田地区で2件)寄せられた。6月に入ると、4、5両日に3件(富岡地区で2件、安平地区で1件)寄せられ、ハンターが巡回。町は住民への周知に追われた。12日には早来緑丘でも1件、情報があった。
町産業振興課によると、16日までに寄せられた今年のヒグマの目撃情報は23件。昨年の6月末時点の5件、一昨年同時期の7件と比べても圧倒的に多い。増加の要因としては「山に餌がなくて、里に下りてきているのでは」とみているが、目撃された全ての場所でまだ農作物が育っていないため、通り熊が地域内で徘徊(はいかい)している可能性は高いという。
異常事態を踏まえて町は、地元猟友会などで組織する町有害鳥獣対策協議会の意見を受け、「住民に危害が及ぶ可能性がある」と判断。5月20日に町熊対策本部を設置した。目撃情報が集中した場所を中心に広報車で巡回し、あびらチャンネル、ホームページ、防災無線を通じて注意を喚起。さらに看板をごみステーションや出没エリアに取り付けた。同月28日には出没地点から徘徊ルートを想定し、箱わなを置くなど対策を強化している。
夏から秋にかけては農作物が収穫時期を迎え、ヒグマの出没が多発すると予想される。町は「ヒグマの動きが活発になる朝夕の農作業時や家を出る時などに、自分の存在を知らせてあげて」とし、▽1人や薄暗い時は入林しない▽鈴・ラジオ・大声で話すなど音を出しながら歩く▽残飯、生ごみ、空き缶は持ち帰る―などの徹底を呼び掛けている。