新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長され、道が出勤者数の7割削減への協力を求める中、苫小牧市もテレワーク(在宅勤務)制度の推進に力を入れている。昨年5月から一部業務で認めてきたが、今年2月からはICカード(職員証)を使った庁内システム作業にも拡大した。ペーパーレス化の一環で部長級以上に配布したノートパソコンでも今月から、同様の作業ができるようになった。同システムを利用した在宅勤務の実績は先月20日時点で一般職11人にとどまるが、今後、課題を洗い出し、利用促進を図りたい考えだ。
市職員の在宅勤務は昨年5月14日から、ICカードを使わずにできる一部業務で始めた。正職員だけでなく再任用職員、任期付き職員も対象とし、企画立案や情報収集、資料分析などをしてもらう想定だった。
市はさらに、働き方改革としてもテレワークを進めたい考えで、国が自治体向けに構築したテレワークシステムの実証実験に参加。今年2月から、個人情報を扱う業務を除き、個人所有のパソコンでもICカードを使った作業ができる環境を整えた。
利用者は約1週間前に申請した上で、当日は最初に自宅から所属長に電話し、教わったパスワードを入力すると、システム業務が始められる。通常通り休憩時間を取り、最後に再び所属長に電話を入れ、業務が終了となる。
行政監理室の中村真也さん(41)は5月18日、テレワーク制度を活用し、働き方改革をテーマにした職員向けの通信を自宅で執筆した。中村さんは「窓口や電話の応対がないので、作業に集中できた。環境が変わり、いつもと違う発想が生まれやすいように思った」と振り返る。
行政監理室によると、2020年度に在宅勤務をした職員は全体で53人、計138回。うちICカードを使ったテレワーク(2月から5月20日まで)は11人、計20回だった。同システムに対応できるパソコンを個人で所有している職員に限られるため、市は今後、貸与用のノートパソコン50台を購入する予定。
在宅勤務を経験した職員を対象に4月に実施したアンケートでは、「作業に集中できた」「勤務時間直前と直後に家事や育児の時間が取れた」「今後も活用したい」と好意的な感想が目立った。同室の担当者は「テレワークがなじまないと考えている職場でも、これまでの仕事を見直すきっかけにし、働き方改革につなげてほしい」と期待を寄せる。