苫小牧市矢代町の苫小牧日翔病院(舘山美樹院長)は、新型コロナウイルスの感染症病床を6床、疑似症患者用を4床新設し、6月から運用を始める。コロナの感染拡大に伴う道の要請を受け、一般病棟1棟(40床)を専用病棟にした。これで東胆振の感染症病床数は、苫小牧市立病院の24床と合わせ計30床となる。日翔病院の担当者は「地域の医療を守っていきたい」と力を込める。
道の要請によりコロナ感染症重点医療機関の指定を受け、中・軽症や疑似症患者を受け入れる。感染症病棟は陽性者と疑似症患者を両端に置き、その間に脱衣室などのイエローゾーン、通常支援エリアのグリーンゾーンと計四つのエリアに分け、ゾーニング体制を敷く。6月から専任チームを組んで治療に当たる。
現在は、個室の増設工事を行っている。同病棟専用の撮影機器や超音波検査診断装置といった診療機材も準備し、病棟内で検査から治療まで完結する体制の構築に向け準備を進めている。疑似症患者の病床は、コロナの感染リスクから通常医療を守り、安全な診療進行のため設置する。
同院は外科、内科、リハビリ科、透析センターなど多様な診療科を持ち、急性期病院として幅広い医療を展開する。
これまでも発熱外来を大幅に拡充し、徹底したゾーニングや換気設備の整備、院内のPCR検査機器の増設を行ってきた。個人用防護具の着用方法も徹底し、入院患者に感染疑いの症状が見られた場合は、患者を個室に移し消毒を徹底するなど、院内感染防止にも力を入れてきた。
しかし感染症の拡大が1年以上続き、市内の医療体制も逼迫(ひっぱく)してきたことから、「地域の医療体制維持」の必要性を強く感じ、専用病床新設を決断した。東胆振でこれまで唯一コロナ患者を受け入れてきた市立病院は「地域で感染症病床が増えることは住民の安心につながる。歓迎したい」としている。