新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全道に発令される中、5月下旬に今年度の体育祭を計画していた苫小牧市内の中学校12校中7校は予定通り実施する。密になりにくい種目を選んだり、保護者の参観を見送ったりと対策に余念がない。6、7両月に運動会を予定する小学校も感染拡大防止に知恵を絞る。
市教育委員会は道教委の方針に基づき、緊急事態宣言下の体育祭や運動会を中止または延期するよう各校に通知しているが、参加人数の分散など対策を講じる場合は実施を認めている。
開成中学校(細部善友校長、生徒数119人)の体育祭は29日に実施予定。6月以降は中体連や宿泊研修などの行事が相次ぐため、細部校長は「他の月だと十分な時間を確保することが難しい」と説明する。
競技中以外は生徒らのマスク着用を徹底。密対策の一環で、ブルーシートの四隅を持ってボールを運ぶ種目を導入する。1本の棒を数人で持って走る競技では、距離を保つよう棒の持ち手に印を入れる工夫をし、体調確認は見学する保護者にも求める。「生徒たちには行事を通じ、協働する力を身に付けてもらいたい」と細部校長。3年生で、生徒会長の松前美月さん(14)は「最後の体育祭があるか不安だったのでほっとした。学年混合のリレーは、学校全体の団結力向上につながる」と喜ぶ。
26日に体育大会を開いた凌雲中学校(前田辰夫校長、同234人)は、感染拡大防止へ保護者の観覧を見送った。当初、5月中に体育祭を計画していた12校のうち、5校は6~7月に延期した。
一方、小学校の運動会は基本的に6~7月に計画されているが、清水小学校(堀田稔校長、児童数221人)は5月31日~6月2日に2学年ずつ実施する。7月上旬に体育館の工事を控えるためで、それぞれ2こま分の授業時間を充て、保護者の観覧は、各家庭2人までにとどめる。
24日に行われた3、4年生の全員リレーの練習では準備体操をしたり、走ったりする際にも児童はマスクを着用。練習終了後は速やかに手洗いをして教室に戻るよう教員が注意喚起していた。4年の数矢ひかりさん(9)は「お父さん、お母さんに、リレーで活躍できるかどうか見てもらいたい」と胸を躍らせていた。。
堀田校長は「運動会などの行事は思い出として心に残る。できる限り対策を講じ、行ってあげたい」と話している。