新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が北海道に出されることを受け、道は15日午後に対策本部会議を開き、宣言発令に伴う対策を決定した。道内全域に不要不急の外出自粛や飲食店の営業時間短縮を求めたほか、感染が爆発的に拡大する札幌市と石狩管内、小樽市、旭川市の10市町村を「特定措置区域」に定め、酒類提供の飲食店に休業、百貨店などの大型商業施設に土日・祝日の休業を要請した。宣言の期間は16~31日。
記者会見した鈴木直道知事は「私たちは今、変異株の恐ろしさを目の当たりにしている。この局面では、人と人との接触を徹底的に抑えることが最大の対策となる」と道民に協力を求めた。
国の北海道への「緊急事態宣言」の発令は昨年4月16日~5月25日以来、2回目。法的根拠はないものの、全国で初めて発出した道独自の「緊急事態宣言」(昨年2月28日~3月19日)を含めると通算3度目となる。
緊急事態措置は都道府県全域で一律の対策を講じるのが原則。ただ、広大な道内は感染状況が地域によって異なることを道が国に強く訴え、地域に応じて対策に強弱をつける異例の措置が認められた。
感染拡大に歯止めがかからない札幌を中心とする10市町村の「特定措置区域」では、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店に休業を要請。それ以外の飲食店には午後8時までの時短を求めた。百貨店など床面積が1000平方メートルを超える大型商業施設などには平日が午後8時までの時短、土日祝日は休業を要請。イベントの人数を制限(上限5000人かつ収容率50%)したほか、道立・市町村立施設は原則休館とする。
「特定措置区域」以外の169市町村は「措置区域」として、全道民に不要不急の外出自粛を求めたほか、飲食店には午後8時まで(酒類提供は午後7時まで)の時短を要請。学校行事(運動会、体育祭、修学旅行など)を中止・延期・縮小することも求めた。
時短や休業の要請に協力した店舗には支援金(額は調整中)を支払う。全道で外出自粛を求めたため、道の観光支援事業「新しい旅のスタイル」は停止する。
緊急事態宣言の発令に伴い、道独自の警戒ステージも最高レベルの「5」に引き上げた。
知事は「緊急事態宣言に至ったことを知事として重く受け止める。私自身、この難局に全力で立ち向かう覚悟」と強調。対策の強化は「地域の社会経済活動に大きな影響を与えるものであり、さまざまな意見、批判はあると思う」としながらも、「家族、友人、ご自身を守るためには、一人一人の協力が必要。この厳しい局面を乗り越えたい」と訴えた。
■「緊急事態宣言」発令に伴う道の主な対策(期間16~31日)
【特定措置区域以外の道内全域】
・不要不急の外出自粛。特に午後8時以降の外出を控える。
・不要不急の都道府県の移動自粛。
・飲食店(カラオケ店含む)などに午後8時までの時短要請(酒類提供は午後7時まで)。
・イベントの人数制限(上限5000人、歓声の大きさで収容率制限)。
・テレワークや休暇取得を促進し、出勤者の7割削減を目指す。
・学校行事(運動会、体育祭、修学旅行、宿泊学習など)の中止・延期・縮小。部活動は学校が必要と判断する場合を除き、原則休止。
・道立施設は原則休館。市町村立施設は感染状況や施設の目的を踏まえて、順次休館を検討。