北海道に緊急事態宣言の適用が決まった14日、苫小牧市の岩倉博文市長は臨時記者会見を開き、独自に「苫小牧市感染拡大警報」を発令した。期間は16日から31日まで。市内の公共施設を17日から原則休館とする他、市民に不要不急の外出自粛を求める。岩倉市長は「全庁を挙げ、コロナ対応に全力を尽くす」と誓った。
胆振管内では8日以降、連日2桁の感染者が確認されており、市内の病床も逼迫(ひっぱく)し、自宅待機者も増加しているという。市長は「感染状況と地域医療体制の観点から非常に厳しい」と危機感を示し、法的根拠はないものの「警報」に踏み切った背景を説明した。
警報に伴い、市内の公共施設53カ所を17日から31日まで原則休館とし、予約済みの大会や事業にも自粛を要請する。市民には外出を食料品や生活必需品の買い出し、通勤・通学・通院、屋外での運動などにとどめ、その場合も、短時間かつ最低人数での行動を呼び掛ける。感染力が強いとされる変異株は発症までの時間も短く、「同居以外の親族や友人との飲食、マスクなしの会話で感染が広がっている」と注意を促した。
感染対策の強化で地域経済へのさらなる打撃が予想され、市長は国や道の経済対策を見極めるとした上で、「それで十分ではないと思ったら、市独自の財源で考えなければならない」との意向を示した。すでに購入申請を受け付けている「プレミアム付き商品券」や各種事業者支援メニューは継続しつつ、情報収集と相談体制も強化する。
15日から市民会館で始まる高齢者対象のワクチン集団接種は予定通り進める。かかりつけ医での個別接種は予約が取りづらい状況もあり、市医師会とも協議して予約枠の拡充を目指すとした。
警報期間は感染状況に応じて短縮や延長もあり得るとし、岩倉市長は「その都度、対策本部会議で検討し、判断していく」と理解を求めた。
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苫小牧市教育委員会は14日、市の感染拡大警報を受け、17日から31日まで修学旅行など市外での見学学習を控えるよう小中学校に通知した。市外からの外部講師の派遣要請や部活動の対外試合も行わないよう求めている。
市内中学校は、今月が東北に向かう修学旅行のピークで、半数の学校が既に終えている。18日と19日にそれぞれ予定していた緑陵中と和光中は延期を決めた。
市教委は「苦渋の決断だが、子どもたちの健康や安全を第一に考えた総合的な判断」としている。