29日からのゴールデンウイーク(GW)を前に、東京など4都府県への緊急事態宣言や札幌市民への外出自粛要請が決まったのを受け、苫小牧市内でも困惑が広がっている。市民からは「今年のGWは自宅で過ごす」「遠出は難しい」といった声が上がり、観光関係者は集客への影響を懸念しつつ、新型コロナウイルスの感染拡大防止へ一層気を引き締める。
今年のGWは、平日の3日間を休めば29日から5月9日まで最大11連休となるが道内外で都市部を中心に新型コロナの感染が再拡大している。
拓勇東町の会社員大野良太さん(33)は「子どもと遊園地に行く約束をしているが、少し様子を見たい。イベントが中止になったら、実家など近場への行き先変更も考える」とした。
美園町の会社員山内保志さん(34)は「GWはドライブスルーで花見に行く予定だったが、家族の健康を考慮し自宅で過ごす」と話す。
双葉町の会社員田渕慎也さん(37)は「GWもテークアウトを積極的に活用し、海や公園などソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保できる場所で楽しむ」と述べた。
「この地域でも感染者が相次いでおり、危機感を持っている」と語るのは弥生町の主婦及川久美子さん(62)。「GW期間はなるべく出歩かず、家族と室内でトランプなどをして遊ぶ」と言う。
泉町のスポーツインストラクター小田島祐太さん(27)は、昨年のGWはコロナ禍で職場も休業を余儀なくされたが、「今年はすべて仕事。(感染拡大の)波が来ても、自らは感染しないよう対策を講じる」と気を引き締めた。
自宅で92歳の祖母と同居する、有珠の沢町の会社員山本和寛さん(23)は「もともと出掛ける予定はなかった。東京や大阪では感染が急拡大する中、なぜあんなに出歩く人が多いのか疑問」と述べた。
「不安は大きいが、気持ちを前向きにして静かに過ごす」と話すのは、日新町の絵手紙講師鈴木臣子さん(79)。今年のGWも昨年と同様、仲間と励ましの絵手紙を送り合う予定で「一人でも多くの人とやりとりし、毎日を乗り越えていきたい」と言う。
書き入れ時の観光施設も動向を注視する。道外からもキャンプ場利用者が多い、オートリゾート苫小牧アルテン(樽前)は「屋外レジャーに関しては極端な影響はない」としながら「浴場の利用者は減少するだろう」と懸念。イコロの森(植苗)も札幌圏からの利用が多く、来園者数は落ち込むとみており、「対応を検討したい」と語る。
海の駅ぷらっとみなと市場(港町)は、コロナ流行下でも地域の子どもたちを元気に―とGW期間中、敷地内にヨーヨー釣りや軽食を楽しめる出店を並べる計画。外出自粛ムードが強まり、一定の来場者の減少が見込まれるが、「これまでと同様、マスク着用や消毒液の設置などの対策を徹底させたい」としている。
ノーザンホースパーク(美沢)も、馬や自然と触れ合うGW企画を計画通り実施する方針。「安心して楽しめるよう引き続き十分な対策を講じ、来場が困難な人にはオンラインショップやSNS(インターネット交流サイト)などを通して楽しんでもらいたい」と呼び掛ける。