激動チャレンジの1年―IHアジアリーグ・横浜グリッツ

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2021年4月22日
アジアリーグ参入1年目、ジャパンカップで奮闘した横浜=3月27日、白鳥王子アイスアリーナ

 アイスホッケーアジアリーグに2020~21シーズンから加盟した横浜グリッツ(本拠地横浜市)が、新型コロナウイルス禍での激動の活動1年目を終えた。ビジネスマンとトップアスリートを両立する「デュアルキャリア」を実践しながら、国内5チームで争ったジャパンカップで奮闘。結果は最下位に終わったが、人気低迷が続く日本アイスホッケー界に一石を投じる貴重な役割を担った。

 チームは苫小牧東高―慶応大で競技経験を持つ臼井亮人代表が中心となって結成。かつてはコクド、西武鉄道などがいた首都圏を活動拠点にし、約2年の準備期間を経てアジアリーグ参入を果たした。

 初陣となった昨年10月の苫小牧市で行われた対王子(現レッドイーグルス北海道)2戦こそ、プレーヤーわずか16人の厳しい台所事情もあって大敗したが、外国人選手や北米アイスホッケーリーグ(NHL)でプレー経験を持つマイク・ケネディヘッドコーチの合流などを契機に本領を発揮。日本屈指のFW平野裕志朗(25)=苫小牧市出身=を軸にひがし北海道、東北、栃木日光とは毎回接戦を演じた。

 東北などで活躍していた菊池秀治主将(34)は「アジアリーグ経験のない選手が大半で最初はどこまで戦えるか不安だったが、選手全員が意欲的にステップアップしていけた」と胸を張る。

 昨年内に6度あった横浜でのホーム戦は、コロナ禍にもかかわらず毎回9割近くの観客が訪れた。臼井代表は「また関東で試合を見ることができてうれしいとよく声を掛けてもらった。競技ファンがまだ関東圏に多くいることを再認識した」と言う。

 しかし、今年に入ると感染症による政府の緊急事態宣言で試合が相次いで中止に。3月に横浜市で予定されていた対ひがし北海道戦は相手の辞退により不戦勝になったため、年明けの実戦機会は同月下旬の対王子2戦だけだった。国内5チーム中最少の試合数で戦績は2勝16敗。「特に若い選手たちにはもったいないシーズンだった」と菊池主将は残念がった。

 見据える21~22シーズンも収束を見ない感染症がつきまとうことになりそう。「簡単にウィズコロナとは言えない。自分たちの力でチームを成り立たせていかなければ」と臼井代表は気を引き締める。一方で仕事と競技の両立を運営の根幹に掲げ、「一人の脱落者も出なかったのはもちろん、それを意気に感じて1シーズン全うしてくれた」選手たちには尽きない感謝を口にした。

 おかげで選手を雇用する企業からの理解が深まり、卒業後も競技継続を希望する学生選手からの関心も高まっているという。昨年10月に「横浜スポーツパートナーズ」を結成した同じ横浜市を拠点にするDeNAベイスターズ(野球)、Fマリノス(サッカー)、ビー・コルセアーズ(バスケットボール)など「他団体とも協力しながら、グリッツの良さをもっと発信していきたい」と代表は意気込んでいた。

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