第9回女子日本アイスホッケーリーグ(通称・スマイルリーグ)最終日は2月28日、帯広の森アイスアリーナで決勝が行われ、道路建設ペリグリンが9連覇を目指していたSEIBUプリンセスラビッツに2―0で勝ち、初優勝を飾った。トヨタシグナスは3位決定戦でDaishinに3―6で敗れ4位となった。Daishinは2年連続で3位だった。(石井翔太)
頂上対決を道路建設が完封で物にした。2ピリ4分、SEIBUプリンセスラビッツの反則による2人多いパワープレーでFW米山が先制し、続くペナルティ明けにFW早川が加点した。終盤もGK増原が好セーブを連発し無失点に守り切った。SEIBUは最後に6人攻撃を仕掛けたがゴールを奪えなかった。
同月26日に開幕したファイナルトーナメントは全国から9チームが出場した。昨年11月に苫小牧で開かれた2次リーグではAプール4チームによるリーグ戦とBプール5チームによるトーナメント戦が行われ、各プール順位に基づく組み合わせでファイナルトーナメントを展開した。
▽決勝
道路建設ペリグリン2―0SEIBUプリンセスラビッツ
▽得点者【道】米山(黒須、小池)早川(細山田)▽GK【道】増原【S】外崎
▽3位決定戦
Daishin6―3トヨタシグナス
▽得点者【D】堤(冨内、山本)野呂里(野呂莉)堤(長岡、山本)長岡(山本、冨内)伊藤(山本)山本【ト】桜井乃(志賀紅)志賀紅、獅子内(志賀紅)▽GK【D】佐々木、川口【ト】所
トヨタが逆転負け。1ピリにDF桜井乃とFW志賀紅のゴールで先行し、2ピリでも加点。1点リードで迎えた3ピリで3失点して逆転を許した。6人攻撃を試みたがさらに失点し差を広げられた。
Daishinは3ピリの猛攻で4点を挙げてそのまま逃げ切った。
▽5位決定戦
釧路ベアーズ11―1VORTEX札幌アイスホッケークラブ
▽7位決定戦
帯広クレインズレディース2―1札幌インフィニティーズ
27日
▽準決勝
道路建設ペリグリン4―0Daishin
▽得点者【道】鎌田(輪島、山下)米山(小池、黒須)日向(高、ラック)鎌田(早川)▽GK【道】増原【D】川口
SEIBUプリンセスラビッツ4―1トヨタシグナス
▽得点者【S】山下(床秦、久保)山下(久保、床秦)山下(床秦)笹野(山下)【ト】志賀紅(桜井芽、獅子内)▽GK【S】外崎【ト】佐々木
▽5位決定トーナメント1回戦 札幌インフィニティーズ3―2高須クリニック御影グレッズ
▽同2回戦 VORTEX札幌アイスホッケークラブ4―3帯広クレインズレディース、釧路ベアーズ4―1札幌インフィニティーズ
26日
▽準々決勝(公式記録訂正のため再掲載)
道路建設ペリグリン10―1札幌インフィニティーズ
▽得点者【道】ラック(日向)黒須(大滝、富田)早川、米山(黒須、大滝)高(水橋)鎌田(細山田)細山田、黒須(大滝、米山)水橋(細山田、高)富田(米山)【札】佐藤(鈴木)▽GK【道】増原、中野【札】加藤
―【道路建設ペリグリン】運動量と堅守で試合を支配
SEIBUプリンセスラビッツを制した道路建設ペリグリン。ファイナルトーナメント試合連続無失点と、堅実な守備を貫いた。
大会に向けて掲げたスローガンは「チームファースト」だったという。1対1のバトルに負けないことやリスクのないプレーに徹する意識を全員で統一した。水橋主将は激闘を終えて、「60分間全員が集中してゲームに臨めたことが大きかった」と満足げに語った。
首都の強豪SEIBUの9連覇を阻止した。高い攻撃力をかわすためにSEIBUの主力セットには若手中心のセットで対抗。走り負けないことを前提とした戦略が功を奏した。寺尾監督は「マークが外れるシーンはほぼなかった」と納得の表情を浮かべた。
決勝のゲームベストプレーヤーにはGK増原が選出された。33本ものシュートをセーブし、キルプレーが相次いだ終盤も数々のピンチを救った。打たれてもサイドにはじき出してゴールを死守した増原は「リバウンドを与えないように意識していた」と振り返った。
今季は代表合宿にも招集されている増原。スケーティングが速い選手の動きについていくうちに俊敏性は格段に向上したという。「体が大きくない分、速さで補いたい」とひたむきな姿勢を崩さない。
今月11日には全日本選手権大会が札幌市で開幕する。スマイルリーグを含めた「2冠」の金字塔を打ち立てたい。寺尾監督は「真の日本一になるために全日本も勝ちたい」と語った。
―【トヨタシグナス】集中切れ、逆転負け
トヨタシグナスは3位決定戦で逆転負けを喫した。3ピリで失点が重なって粘り切れず、初の決勝進出を逃した。FW藤本主将は「集中力が切れてミスにつながった」と悔しさをにじませた。
トヨタは1ピリで2点のリードを奪ったが、2ピリ以降でじわじわと差を詰められた。引き離すべく2ピリ後半から主力2セットを交互に出す対抗策を打ち出した。
練習試合で試してきたが公式戦で実践するのは初めて。ハードワークが重なり、疲労が集中力を奪った。マークが外れる場面も目立つようになり、失点につながった。今監督は「足は止まっていなかったが、精神力が追い付いていなかった」と話す。
決定力不足も全日本選手権に向けての宿題となった。
藤本主将は「シュートに持ち込むまでのパスの精度がまだまだ低い」と硬い表情を見せた。今監督も「シュートやパス、レシーブといった基本から鍛え直したい」と巻き返しを図る構えだ。