苫工、苫東 新人戦で奮闘―高校アイスホッケー伝統校、来季の飛躍誓う

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2021年2月17日
伝統校のプライドを懸け熱戦を繰り広げる苫工と苫東=9日、新ときわスケートセンター

 高校アイスホッケー界屈指の古豪、苫小牧工業と苫小牧東の両公立校チームが部員数減少の逆境にめげず活動を続けている。市内で今月13日まで行われていた2年生以下の南北海道高校新人大会(5校総当たり戦)では苫工が10人、苫東は8人でそれぞれ出場。各試合で力強く戦い抜き、伝統校としてのプライドを見せた。

 1924(大正13)年創部の苫工は過去7度優勝の全国高校総体で今年1月に5年ぶりの8強入りを果たしたが、同大会を最後に3年生が一挙に8人引退。一方1937(昭和12)年の旧制苫小牧中時代に創部され、全国高校総体優勝10度の苫東は昨年12月の高校総体道予選(札幌)が新型コロナウイルスの影響で中止となり、全国大会出場がかなわなかった3年生6人がチームを離れた。

 新人大会で両校は2月9日に激突した。共に3連敗で迎えたリーグ最終戦で先行したのは、GKを除いたプレーヤーわずか6人の苫東。第1ピリオド8分すぎに先制点を挙げたDF斉藤愁馬主将(2年)が、1―1の同点で迎えた3ピリ開始53秒にも一時勝ち越しとなるロングシュートを決めるなど奮闘した。

 苫工は終盤に意地を見せた。3ピリ5分すぎから約10分間でFW金山侑副主将(2年)がハットトリックを達成し逆転。終盤に1点差まで詰め寄られたが、GK久保侑万(同)の好セーブなどもあって4―3で逃げ切った。

 「声を掛け合って一つになって戦えた」と胸を張ったのは苫工DF小嶌啓斗主将(2年)。高校総体からわずか5日後に大会初戦を迎え「最初はチームとしてまとまれなかった」と言うが、最終戦の勝利は来季につながる大きな財産になった。主将は「体力をもっと付けて少人数でも勝てるチームになりたい」と意気込む。

 苫東のOBでもある小野崎優監督は「私立にも負けないくらい人数も実力もあった両校が、こんなに部員が少なくなってしまったことに寂しさはある」としながらも、指導する苫工については「GK1人、FWとDF9人でも十分ホッケーはできる。技術はもちろん、心の面もより成長してほしい」と願う。

 一方の苫東は昨年春に就任した同部OBの田中渓也監督が丹念に指導したFW1トップ、4人守備のシステムで道栄、北海にも1点差の惜敗ながら好ゲームを演じていた。ただいずれも勝利にはあと一歩届かず、斉藤主将は「悔しいの一言。どこかで攻め急ぎ、人任せになってしまった」と振り返る。

 運用するシステムのためDF登録の3人が3ピリオド60分間交代なしという厳しさの中、4試合で一人も欠落なしで戦い抜いた。田中監督は「並の選手では決してできないことをやってくれた」と頑張りをたたえた。

 斉藤主将は「新しい部員を迎えてもすぐにチームとして機能するような土台づくりをしたい」と前を向く。田中監督は「選手自らが考えて役割を全うできるようになってきた。新入生が即戦力になれるようなアドバイスをできる先輩たちになってほしい」と期待した。

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