地域に根差したチームに―動きだす王子クラブ化準備室 竹俣室長

  • アイスホッケー, スポーツ, レッドイーグルス
  • 2021年1月14日
来社した竹俣氏(右)と王子イーグルス城野正樹副部長=13日、苫小牧民報社
来社した竹俣氏(右)と王子イーグルス城野正樹副部長=13日、苫小牧民報社
クラブチーム化準備室室長に就任した竹俣氏
クラブチーム化準備室室長に就任した竹俣氏

  アイスホッケーアジアリーグ・王子イーグルスのクラブチーム化準備室室長に就いた王子マネジメントオフィスの竹俣一芳氏(61)が13日、苫小牧民報社を訪問した。2009~11年にかけて王子製紙苫小牧工場の事務部長と兼ねてチームの部長も務め、当地でアイスホッケーとの関わりを深めた竹俣氏に、4月の運営会社設立に向けた展望とクラブ化への意気込みを聞いた。

   ―クラブ化の意義について。

   これまで(王子イーグルスが)企業チームとして長く活動してきたことには当然意義はあった。クラブ化は決して王子がチームから手を引くわけではなく、より発展させるために形態を変えるということ。

   現時点で所属する選手への待遇が急激に変わることはない。それは選手たちにもしっかり伝えているので、動揺はしていないと思う。

   ―運営会社設立に向けて。

   運営形態など具体的な部分はこれから詰めていく。苫小牧の地域企業や競技関係者など、いろいろな方と対話しながら準備を進めたい。

   他競技におけるクラブ運営も参考にしていく。ただ、アイスホッケー特有の環境もある。いい部分は活用し、障害になるものは取り除いていく。運営を担当する社員の人員はごく少数にし、必要によっては外部委託するなど臨機応変にやっていくつもりだ。

   ―クラブ化で多くのスポンサー支援が必要になる。

   これまで王子が負担していた分の肩代わりをしてもらうためにスポンサーを募るのでは、地域やアイスホッケー競技の発展にはつながらない。チーム活動に興味を持ち、支えたいと思っていただけるような魅力をどんどん見いだしていきたい。

   単なる支援者ではなく、出資者のような立場でチームの運営方針に助言できるような仕組みも一つだと思うが、急がずしっかり考えたい。

   ―氷都苫小牧とのつながりについて。

   アイスホッケーをやるには苫小牧が一番の場所。これほどのアドバンテージはないので、もっと活用していかなければならない。市民の中には王子という企業チームのイメージがまだ強いと思うが、これからは地域に根差したチームとして応援してもらえるようにしたい。そうなればチームにより愛着が湧き、競技の裾野も広がっていくと思う。

   ―2026年には創部100年の節目を迎える。

   王子製紙苫小牧工場の事務部長を務めていた2010年に同工場の創業100周年の節目に立ち会った。アイスホッケーも同様に、いい形で100年を迎えられるように責務を果たしたい。

   ―アイスホッケーの魅力とは。

   私自身、最初に岩倉組を応援したテレビ観戦をきっかけに小学生の頃からアイスホッケーが大好きだった。自宅にはアイスホッケーのゲーム盤があり、よく友人と遊んだ。生まれ育った関東圏のリンクでも盛んに大会が行われ、よく観戦した。すごく迫力があって、面白いスポーツだと思っている。

   ―現在国内リーグのジャパンカップに参戦している現チームへ。

   部長を担ったころから思いは同じで王子は強くあってほしいし、そうでなければならない。うれしいことに現時点で首位に立っている。このまま独走して優勝し、クラブ化に向け景気を付けてほしい。

   竹俣一芳(たけまた・かずよし) 慶応大商学部卒。1982年王子製紙に入社し、江別工場を振り出しに本社企画本部などを経て、2009年3月から11年3月まで苫小牧工場事務部長を歴任し、アイスホッケー部の部長も兼務。19年4月から王子機能材事業推進センター取締役。中学軟式、高校硬式と続けた野球が趣味で王子ホールディングスシニアチームの内野手としてリーグ16季連続試合出場中。61歳。東京都出身。

 ―運営モデルケースに期待・OB鈴木宣夫さんがエール

   王子製紙チームOBで現在は関西大(大阪府吹田市)のアイスホッケー部監督を務める鈴木宣夫(すずき・のりお)さん(56)が13日、苫小牧民報社の取材に応じ、新年度からレッドイーグルス北海道としてクラブチーム化する王子イーグルスに「アイスホッケー界を引き続きけん引してもらいたい」と期待を語った。

   鈴木さんは王子製紙在職中にバレーボールといった他競技の地域密着型クラブチーム運営担当者から話を聴くなどし、「当時の上司と先駆的な成功事例を内部的に研究したことがあった」と明かした。転職後も「イーグルスのクラブ化はいつかあるかもしれないと考えてきた」と振り返る。

   昨年来、新型コロナウイルス禍でスポーツ界全体が逆境にあるとしつつ、今後に向け「現加盟チームがトータルにアジアリーグの魅力を引き上げることが重要」と強調。「その中でレッドイーグルス北海道にはチーム運営のモデルケースを築いてほしい。アイデア次第ではないか」と期待する。

   アジアリーグは続開中。後輩の選手たちには「コロナでたいへんな時期。できることは限られても目標に向かってぶれずにいれば日が昇ると信じて創意工夫を重ねてほしい」とエールを送る。

   鈴木さんは釧路市出身で1980年代半ばから90年代にかけて活躍した名センターフォワード。入社4年目の21歳当時、日本リーグで史上最年少リーグMVP(後に2度獲得)。同リーグでは歴代通算最多の558ポイントをマークした。2007年に退社し、関西大職員となった。

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