菅義偉首相が4日、記者会見で新型コロナウイルスのワクチンについて、2月下旬までに接種を開始できるよう準備を進めていく考えを表明したことを受け、苫小牧市も接種体制の整備を急ぐ。政府は医療従事者、高齢者、高齢者施設で働く人から順次、接種を始める方針を示しており、すでに市医師会と接種場所の確保などについて協議している。
新型コロナの予防接種は改正予防接種法に基づき、厚生労働大臣の指示の下、都道府県の協力で市町村が行う。市町村の具体的な役割としては▽接種業務に関する医療機関との委託契約▽接種費用の支払い▽住民への接種勧奨、個別通知(接種券の発行)▽手続きに関する一般相談対応▽健康被害救済の申請受付、給付▽集団接種時の会場確保―などが想定されている。接種・救済に伴う費用は全額国費で賄われる。
政府の方針ではワクチン接種は、医療従事者を最優先。市は現在、対象者数把握へ苫小牧保健所に情報提供を求め、市医師会と集団接種も含めた体制構築について話し合っている。
昨年12月の市議会定例会では、接種対象の拡大を見据えた関連事業費約130万円を盛った今年度一般会計補正予算が成立。市はシステムの改修に着手し、接種券発行も準備中だ。
厚労省が昨年12月に示した予防接種の行程では、2月下旬から医療従事者に先行的に接種し、次いで3月から、高齢者に接種券を発行。その他の対象者についても基礎疾患のある人や高齢者施設で働く人を優先し、4月から順次、接種券を配っていく。
ただワクチンの薬事承認の審査はこれからで、供給量も不確定。接種の優先順位がさらに細分化される可能性もある。
想定通り、ワクチン供給体制が整ったとしても「優先接種に該当しない人にまで行き渡るのは、夏以降になるのでは」と市健康支援課の担当者。「きつい日程だが、間に合わせるべく作業をしている。市民周知にも努める」と語る。
市医師会の沖一郎会長は「ワクチンを接種する場所や管理方法などについて、市や苫小牧保健所と協議していく。比較的うまく回っている市内の医療に負担を掛けない体制にしたい」と話す。