例年なら忘年会シーズン真っ盛りだが、新型コロナウイルス流行でまちにそんな雰囲気はない。感染拡大防止へ大人数での会食や飲み会の自粛が呼び掛けられる中、「5人以上で会食していた」と政治家らを批判するニュースが繰り返し報じられている。緊張感の無さに怒りの声が噴出するのは当然として、なぜ5人以上が駄目か。
専門家によると、科学的根拠は曖昧らしいが4人までだと話し相手は正面か隣、対角線上に絞られる一方、5人以上になると誰かが離れて座ることになるため声が自然と大きくなり、飛沫(ひまつ)も飛びやすくなるという。一応筋は通っている。実際、会食の際に発生したクラスター(感染者集団)の8割以上が5人以上の会食だったといい、注意しなければならない。
ただ、最近、会食そのものへの風当たりが強過ぎることが気になる。自粛を過度に強いる「自粛警察」ではないが息苦しく、ちょっと嫌な感じすらある。肝心なのは、感染防止対策だ。本末転倒な会食・飲み会狩りムードを払拭しないと、閉塞感は増すばかりだ。終息の気配が見えないコロナ禍。これ以上の感染拡大を避けなければならないという思いは皆同じはず。「静かな会食」は人数が増えるほど困難になるから、年末年始の集まりでは、改めて手指の消毒など基本の対策を徹底させたい。経済活動も重んじながらの節度ある行動が、一人ひとりに求められていく。(輝)