新型コロナウイルスの感染拡大を受け、苫小牧市内で再びイベントを自粛する動きが強まっている。11月以降、道内で感染者が急増し、警戒ステージが引き上げられるなど感染防止の呼び掛け強化を受けたもので、直近では来年2月に開催予定だった第55回とまこまいスケートまつりの中止が決定。文化団体などによる小規模催事も見送りが相次いでいる。道の「集中対策期間」が12月11日まで延長される中、市民からは「今は仕方がない」との声も上がっている。
毎年5万人規模の集客があった市内の大規模イベントの一つ「とまこまいスケートまつり」は、16日の臨時委員会で初めての中止を決めた。今年は港まつりや樽前山神社例大祭など大型イベントが見送られ、実施を期待する市民も多く実行委員会でも「規模縮小や会場の入場制限なども検討した」(市町峰行実行委員長)ものの、感染拡大防止が最優先とする意見を踏まえて決断したという。
11月からの感染急増を受け、各団体も対応に苦慮している。15日に市内で開催予定だった社交ダンスの競技大会は主催の苫小牧ボールルームダンスアスリート協会が「感染拡大が続く中で不安を拭えない。仕切り直ししたい」とホームページで中止を発表、来年5月の開催を目指す方針。
東京の劇団飛行船も12月6日に市内で公演予定だった着ぐるみミュージカルを見送った。1日2公演で100人を集める計画としていたが、担当者は「感染の広がりを受けた苦渋の選択」と理解を求める。
市内の私設文学館で今月28日と12月4日に開催予定だった絵本の出版記念会と朗読会も中止に。主催者は「不安の中で開くことはできない。参加者が安心して楽しめる内容でなくては」と話す。
こうした動きに市民からは「中止の判断は仕方ない。年内は静かにしていた方がいい」(80代女性)と理解を示す一方、「イベントより会食、飲食が問題。過剰に萎縮する必要はないのでは」(60代男性)などの声も上がっている。
19~25日の人口10万人当たりの北海道の新規感染者数は、東京の20・74人より10人以上多い31・49人で、全国最多。道は新たに札幌市内の接待を伴う飲食店に休業要請するなど感染拡大防止に躍起だが、今後の見通しは不透明で各種催事の延期や中止はさらに広がりそうだ。