新型コロナウイルスの流行急拡大で、1日当たりの新規感染者数が高止まりしている札幌市と大阪市が24日から来月15日までの3週間、国の観光支援事業「Go To トラベルキャンペーン」の割引対象から除外されることが決まった。苫小牧市は含まれていないが、地元関係者からは札幌に近いことで「宿泊や飲食に影響が出てくる」と警戒や懸念する声が聞かれる。
苫小牧観光協会の市町峰行会長は「本州からの旅行者の多くは札幌を起点に苫小牧を含む道内各地に流れる。そのルートが途絶えると北海道に来なくなることも考えられる」と指摘。市内中心部の飲食店はコロナ禍で売り上げが落ちているが、さらに拍車が掛かる可能性も懸念している。
苫小牧ホテル旅館組合の佐藤聰組合長は、感染拡大防止策としての必要性に理解を示しつつ「業界はGoToで助けられている部分もある」と複雑な心境を明かす。自身が経営するホテルは今月上旬以降、新規予約が止まり、キャンセルも若干発生。札幌が対象除外となった後、予約先が道内の他地域に分散化する可能性も挙げているが「苫小牧はあまり恩恵を受けられないのでは」と見通す。
岩倉博文市長は現在の感染状況を踏まえた政府の決定に一定の理解を示す一方、地域経済への影響を懸念。「特にホテル業や観光業への影響が心配」とし、「市としては感染防止に加え、経済対策も重要と考えている。国や道の動向を見極めながら、今後の対応を検討したい」と話した。
今回の見直しは、航空会社や旅行会社にとって大きな打撃を招くもので、各社も今後の状況を注視する。
全日本空輸北海道支社の担当者は「国内線は盛り返していたが、今後は(旅客の)数字が落ちるのではないか」と予想。年末年始は例年、帰省対応などで新千歳―羽田線を中心に増便しているが、先行き不透明な情勢に「厳しい状況だ」と肩を落とす。
日本航空も同じで、この1週間は北海道路線の予約が鈍化。キャンセルも出ているとし「年末年始も需要が伸び切らない可能性がある」と担当者は語る。GoToトラベルの東京追加で旅客が回復傾向にあっただけに「機内の感染対策を継続していくしかない」と強調。AIRDO(エア・ドゥ)の担当者も同じ考えを示している。
観光業界も動揺している。コープトラベルステイ店(苫小牧市三光町)では今のところキャンセルや行き先変更は出ていないが、「これから問い合わせが入りそう。お客さまには誠実に対応したい」と話した。