胆振管内の新型コロナウイルスの11月の新規感染者が20日、100人に達した。これまでの月別最多は10月の36人で、既にその3倍近くに上っている。1日当たりの感染者も同日は過去最多の12人。クラスター(感染者集団)の発生にも歯止めがかかっておらず、関係者は危機感を強めている。
居住地が苫小牧市も含め「胆振管内」と公表された感染者は、1~20日でちょうど100人。最初の感染事例が確認された2月22日以降、累計168人となっている。月別感染者数については2~9月は1桁で推移していたが、10月は前月の6倍の36人となり、11月はさらに急増した。
クラスターは3日に胆振管内のカラオケスナック、15日に室蘭市の幼稚園、17日に北海道電力苫東厚真発電所の社員寮で発生。苫小牧市内では5日に苫小牧市立病院、12、16日に王子総合病院でそれぞれ医療従事者の感染が判明するなど多方面に感染が広がっている。
苫小牧市医師会がPCR検査体制を拡充した「苫小牧発熱検査センター」は2日の開設以降、1日当たり20件弱のPCR検査を行い、20日までに200人以上を検査。沖一郎会長は「これから増えてくる可能性は十分にある」と懸念する。
一方、同じく新設した9歳以下の小児専門、小児発熱検査センターの検査数は非公表だが、「増えていない」と説明。感染症対策の徹底が奏功してかインフルエンザの同時流行は防げている模様だ。このため、検査体制自体は「心配する状況にはない」とするが、さらに感染が拡大すれば「増強を検討するかもしれない」とも話す。
苫小牧保健所の野尻彰生次長は、胆振管内での感染拡大について「札幌の影響があるとは簡単には言えない。全道的に増えている」と指摘。「寒くなって換気しにくくなるなど、感染対策が十分にできなくなっている可能性がある」と語る。
政府が飲食店支援事業「Go To イート」を継続し、利用の目安を「原則4人以下」などとしていることなどを踏まえ、「大人数での長時間の食事は控え、寒い時期だが換気を欠かさないでほしい」と強調。改めてコロナ対策の徹底を呼び掛けている。