新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んでいる飲食店の支援策「Go To イート」事業で、道内でもプレミアム付き食事券が販売されてから10日が過ぎた。1万円分を8000円で購入できる食事券で、東胆振では18日時点で142店が取扱店に登録しているが、序盤の利用は低調気味。さらに、感染者急増に伴う「利用は4人以下」の人数制限や札幌市との往来自粛の要請で、効果への期待はしぼみつつある。
苫小牧市新中野町のプチレストラン葡麗紅(ぶれいく)では一定の利用があるといい、田口健太郎店長(45)は「反応はまずまず」と話す。しかし、普段は市外からの客も多く、往来自粛の影響を心配しながらも「当面は流行が落ち着くのを待ちたい」という。
市内汐見町でネパールカレーを提供する「ガネーシャ」のパンデ・サンカル店長は「市のプレミアム商品券の方が圧倒的に多く、Go To 食事券は4、5枚程度」と語る。来店客の認知度の低さも感じるといい、「もっとPRして買う人が増えれば」と望みを託す。
一方、17日まで利用がなかったり、数件にとどまったりの飲食店も。市内錦町で長年居酒屋を経営する男性店長は「使ったのは夫婦1組だけ。食事券を買っても外出自粛で使わない人もいるのでは。登録はしたが効果は少ない」と語る。
札幌圏からの来店も多い安平町早来のそば処春元は、利用がまだゼロ。「往来自粛期間の27日までは我慢するしかない」とスタッフの浜谷朋子さん(45)。厚真町のこぶしの湯あつまも3組の利用にとどまり、「それほど期待はしていない」と担当者は言う。
白老町石山のレストランカウベルは民族共生象徴空間(ウポポイ)の開業効果もあって週末は混み合うが、「食事券の効果は特に感じない」。店内にフードコートを持つ同町本町のスーパーくまがいの熊谷貴洋社長(51)も「食事券の利用はまだ2組」と期待外れの現状だ。
同事業を運営する北海道商工会連合会(札幌市)によると、食事券の発行総数は100万冊だが、18日現在の売れ行きは17万1943冊と2割以下にとどまる。担当者は、同事業の参加条件にコロナ対策を盛り込んでいることで「各飲食店の感染防止対策が進む」と効果を強調。「専用ホームページにエリア別の店舗検索機能を付加するなど、利便性を高めたい」とし、各自治体とも連携してPRを強化する方針だ。