道内で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を踏まえ、鈴木直道知事と秋元克広札幌市長は16日、道庁で緊急会談を行った。感染者が連日3桁台で推移する札幌市については、道が独自に設定し、現在運用している警戒ステージ「3」を「4相当」に引き上げて対策を強化する方針で一致。「感染リスクを回避できない場合」の条件付きで、札幌市民には「不要不急の外出自粛」を求め、道民には「札幌との往来自粛」を要請することで合意した。専門家の意見も聴き、17日午後から開催する道の感染症対策本部会議で詳細を決定し、知事が記者会見で発表する。
道は独自に定める5段階の「感染ステージ」を7日に「3」へ引き上げたものの、新規感染者は上昇カーブを描く。12~15日は4日連続で200人台。道内各地で「札幌由来」とみられる感染事例も増えているため、対策を強化する。
会談は冒頭以外は非公開。知事と市長が記者会見し、合意内容を説明した。
知事は医療機関や高齢者施設でのクラスター(感染者集団)も相次ぎ「医療提供体制の負荷が高くなり、大変憂慮すべき事態」と強調。札幌市については「警戒ステージの4に相当する取り扱いにさせてもらう」と表明した。札幌市民への「不要不急の外出自粛」と道民への「札幌との往来自粛」はいずれも「感染リスクを回避できない場合」と説明。具体的には、ガイドライン「新北海道スタイル」を実施していない施設の利用や大人数、長時間にわたる飲食、密閉空間での会合などが想定される。
知事は国の「Go To」キャンペーン事業にも言及。「Go To イート」については「5人以上の会食、長時間の会食は感染リスクが高まる」とした上で、例えば「会食は4人以内、2時間以内を目安にしたい」と述べ、見直しについて農林水産省や受託団体の北海道商工会議所連合会(道商連)に申し入れる考えを示した。一方、「Go Toトラベル」については「静かに食事を楽しみながら温泉に入ることなどで感染が多く確認されているわけではない」とし、「感染リスクを回避できない場合」に注意を促しつつ継続する姿勢を示した。
秋元市長も「このままでは市民に適切な医療提供をできなくなる恐れがある。踏み込んだ対策が必要」と危機感を訴えた。