新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者などの見守り活動に影響が出る中、苫小牧市日吉町の老人クラブ「日吉町明和会」が町内の公営住宅約120世帯を対象に定期的な取り組みを続けている。一人暮らしの多い団地内を数人のグループで歩きながら、部屋の明かりなど生活の様子を外から確認。不在時は会員がメッセージをドアノブに掛け、翌日に再訪するなど、コロナ禍でも工夫しながら居住者の安否を見守っている。
この活動が始まったのは2年前。階段からの転落事故や孤独死する居住者が相次いだことを受け、地域の健康づくりに取り組む有志の会「苫小牧健康友の会・日吉班」のメンバーで見守りを開始した。
現在は117世帯が入居中で、約8割が一人暮らしの後期高齢者。日吉町明和会の活動として毎月第1、3金曜日の月2回、7人のメンバーが夕方に集まり、2班体制で安否確認を行っている。
中心的な役割を担う二又セツ子さんは、巡回の際に生活している様子を調べているといい、「部屋に明かりがついているかどうか、カーテンの開け閉めはしているかなどを見ている」と話す。家人が不在の場合はメンバーが作った折り鶴と一緒にメッセージをドアノブに掛け、翌日に再訪問。健康面に不安を抱える住民などに庭先から声掛けしており、一定の距離を置きながら近況を聞くという。
活動当初は嫌がられたり、不審者扱いされたりしたこともあったが、地道な活動で信頼関係を築き、現在は「声を掛けてもらったり、私たちを待ってくれている人もいる」と笑顔を見せる。
6人が参加した今月6日は懐中電灯を手に団地内を巡回。ある住民に「元気かい?」と話し掛けたときには「寒いのにご苦労だね」と笑顔の返事。呼吸器疾患で入院していたという高齢男性には「ご飯は食べてるかい?」「何かあったら連絡してね」を体調を気遣う言葉を掛けた。
会話は長くても5分程度。相手とも一定の距離を空けているといい、活動当初からソーシャルディスタンス(社会的距離)を実践していることで、コロナ禍にあっても活動への影響はほとんどないという。
二又さんをはじめ、活動に参加するメンバーも高齢者だが「自分たちが元気なうちは続けていきたい」と語っている。