道や札幌市などは12日、新型コロナウイルスの感染者が新たに236人確認されたと発表した。日別の新規感染者数は9日の200人を上回り過去最多を更新し、8日連続3桁台となった。このうち101人の感染経路が不明。札幌市では90代男性、旭川市では年代・性別非公表1人の計2人の死亡を確認した。道内の離島では初めて利尻島でクラスター(感染者集団)が発生。北海道医師会の長瀬清会長と札幌市医師会の松家治道会長は同日夜、札幌市内で緊急会見を開き「道内は第3波に入っている」と指摘し、国の観光支援策「Go To トラベル」の見直しを鈴木直道知事に申し入れる考えを表明したほか、札幌では「このままの状況が1週間続けば、医療崩壊につながる」と警鐘を鳴らした。
道は計57人の感染を確認した。内訳は苫小牧市の20代女性と30代男性の医療従事者2人を含む胆振管内7人のほか、日高管内2人(40代女性と年代・性別非公表1人)、十勝管内12人、宗谷管内11人、石狩管内(千歳市1人など)と空知管内各8人、釧路管内4人、後志管内2人、札幌市居住2人、東京都居住1人。宗谷管内利尻富士町の飲食店では、12日までに10人(従業員5人、利用者5人)の陽性が判明し、道ではクラスターと認定。クラスター関連では、滝川市の滝川中央病院で新たに入院患者3人が感染し計12人になった。胆振管内のカラオケスナックも2人増えて計12人。帯広市の接待を伴う飲食店「エスコートラウンジ・グランデ」も3人増の計16人となった。
札幌市は、10~80代男女と年代・性別非公表など過去最多の164人の感染を確認した。市立栄中学校(東区)では生徒8人の陽性が判明し、市はクラスターと認定。道内の中学校でのクラスターは初めて。市内の専門学校でも新たにクラスターが発生し、12日までに計20人の感染が明らかになった。道内のクラスターは11月に入って32件と急増し、累計で103件となった。
旭川市では、クラスターが形成されている慶友会吉田病院で看護師や患者ら計9人の陽性が判明し、感染者は計39人に拡大。函館市は2人、小樽市は4人の感染をそれぞれ発表した。
道内の感染者は延べ4820人(実人数4797人)で、治療を終えて回復したのは3243人。12日時点の患者数は前日から167人増えて1455人、重症は2人増えて14人、死者は122人となった。
新規感染者の急増で、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)度が増している。道が公表した11日時点の状況では、入院患者が前日から60人増の494人、宿泊療養施設入所者も12人増の520人、同施設入所日調整中の患者は3人増の161人、札幌市が開始した自宅療養者は53人増の113人。