新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、苫小牧市医師会がインフルエンザとの同時流行に備え、検査態勢を強化してから1週間が経過した。2日に開設した「苫小牧発熱検査センター」と「小児発熱検査センター」で迅速に感染の有無を判定できる仕組みを整え、東胆振管内(1市4町)の住民の安心・安全に寄与している。同会の沖一郎会長に現在の体制や今後の対策などを聞いた。(聞き手・半澤孝平)
―今月2日から検査態勢を拡充し、コロナとインフルの感染確認を同時にできるようになった。この時期に強化した狙いは。
「これからインフルの本格的な流行期を迎えるが、発熱などの症状だけで新型コロナと区別するのは難しい。全国の動きを見ると『発熱者は診ない』という医療機関も散見される。住民が簡単かつ安心に検査を受けられることが重要で、この地域でスムーズに検査ができる施設をつくる必要があった。地域の医療機関の負担軽減にもつながる」
―これまでの検査件数は。
「5月25日にPCR検査センターを設置して以降、多いときは1日10人以上、少なくとも6、7人ほどを検査し、(道が依頼した濃厚接触者の検査を含めて)合計約700人になった。通常時は問題ないが、胆振管内でもクラスター(感染者集団)が相次いで発生。熱が出た人が感染を疑い、検査を希望するというケースも増えている。苫小牧発熱検査センターは稼働初日に22人が検査を受けており、8日までの1週間で78人検査した」
―胆振管内でも感染者が増加している。現状をどう見ているか。
「秋ぐらいまでは『苫小牧は安心』などという見方もあったが、今は地域を問わず感染が広がっている。引き続き注意喚起をしなければいけない。苫小牧市内の企業や学校でも確認されたようなクラスターはいつ起きるか分からない。常に『市中には感染者がいる』『苫小牧も他人ごとではない』と緊張感を持つ必要がある。医師会としても各自治体や保健所などと連携し、流行のピークにも対応できるよう取り組んでいく」
―市民はどんな心構えで生活すればいいか。
「3密(密閉、密集、密接)を避けることが基本。冬でも室内を換気し、小まめな消毒とマスク着用をしてほしい。うがい、手洗いも効果的だ。これらの対策を徹底していれば普通の生活はちゃんとできる。寒くなるとウイルスが活性化するので、流行のピークはこれから来ると考え、基本を大事に過ごしてほしい」