道内で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないことを重視し、道は5段階に分けて設定している「警戒ステージ」を現行の「2」(感染症の漸増・医療提供体制への負荷が蓄積する段階)から「3」(感染者がさらに増加し、医療提供体制への負荷がより一層高まる段階)へ引き上げる方針を固めた。鈴木直道知事は6日午後に開いた定例会見で、「専門家の意見も伺い、あす(7日)の感染症対策本部で決定したい」との姿勢を表明した。
7日午後から道と札幌市がそれぞれ対策本部会議を開いた後、鈴木知事と秋元克広市長が夕方に共同記者会見を開き、詳細を発表する。対策内容は最終調整を進めているが、感染が続発する札幌市ススキノ地区の酒類を提供する飲食店に絞り、営業時間短縮要請が盛り込まれる。
道では、5月に策定した「警戒ステージ3」の対応の目安として▽感染拡大防止対策を講じていない施設への外出自粛▽同種の集団感染が複数発生するなど、これまでの対策で感染リスクの回避が困難な業態への外出自粛▽感染拡大地域との往来自粛▽不要不急の外出自粛―の4項目を要請例として掲げている。
今回のステージ引き上げで、ここから何を選択するかが焦点で、経済活動への影響を重視し「不要不急の外出自粛」は見送られる見通し。ススキノの飲食店に対する時短要請の期間は7~27日(7~10日は準備期間)、要請に応じた事業者に支払う協力金は20万円―を軸に調整を進める。
道内では5~6日に1日当たりの新規感染者が2日連続で100人以上となるなど、10月下旬から感染が急拡大している。道では「警戒ステージ」引き上げの基準として7指標を設けているが、6日現在で▽入院患者の病床利用数314床(ステージ3の基準250床)▽直近1週間の新規感染者626人(同133人)▽感染経路不明割合53・7%(同50%)―など、重症者の利用病床10床(同25床)を除き6指標でステージ3の基準を上回っている。
道は10月28日に警戒ステージを「1」(感染者が散発的に発生しており、医療提供体制に大きな支障がない段階)から「2」へ引き上げたばかりだが、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)度が増していると判断。わずか10日間で、ステージをさらに1段階上げる構え。
知事は6日の会見で、「感染拡大に歯止めがかからない。非常に強い危機感を持っている」との認識を示し、「これから本格的な冬を迎える。感染拡大の抑え込みに向け、まさに今が正念場だ」と強調した。特に感染者が急激に増えている札幌市の現状を憂慮し、4日の秋元市長との会談で「ススキノ地区の酒類を提供する飲食店などが感染拡大の大きな増加要因になっている」と分析。対策内容について「ススキノ地区のこうした飲食店に対する夜間の営業時間短縮を含めた強い措置を検討している」と明かした。