苫小牧市の岩倉博文市長は30日夜、苫小牧工業高校で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことを受け、臨時会見を開き「予断を許さない状況があと数日続く」とし、市民に感染対策の徹底を求めた。社会経済活動への影響を最小限に抑えるため、イベント自粛や公共施設の休館措置は取らない考えも示した。
感染拡大の可能性に対して「あと数日、(濃厚接触者などの)検査を待つ必要がある」と説明。対策に▽3密(密閉、密集、密接)回避▽換気の徹底▽共有スペースの消毒―などを挙げ、「誰もが感染するリスクがある。思いやりのある冷静な対応を」と呼び掛けた。
公表・非公表を問わず個人の特定や誹謗(ひぼう)中傷、憶測などの拡散を慎むことも強調。今回、複数の高校生が自治体名公表に同意したため、市の注意喚起に至ったとして感染者の早い回復を願いながら、協力への謝意も述べた。
市内で感染者が出た当初より強い規制をしない理由について「感染症の実態が分かってきて無症状の患者も増えている」と指摘。現状の医療体制は逼迫(ひっぱく)しておらず、検査体制も拡充してきた経過を踏まえ、「経済活動に大きく影響するような規制までは現段階では考えていない」と理解を求めた。