苫小牧市危機管理室は毎年実施している防災出前講座について、新型コロナウイルス感染防止策を新たに盛り込んだ内容に改訂し、市民に周知を進めている。避難所は感染リスクが高まる「密」を避ける狙いから、市が指定する公共施設だけでなく親戚や友人宅なども活用するよう推奨。双葉町町内会で17日に行われた出前講座で初めて分散避難の考え方を紹介し、「共助」の意識で取り組むよう呼び掛けた。
同町内会の要望に応じて行われた出前講座は、市の担当職員が「苫小牧で想定される自然災害と災害への備え」の演題で講演。市の防災ハンドブックを用いながら、▽2018年9月の胆振東部地震▽16年8月に市内各地で被害が出た高潮▽樽前山噴火の危険性―などを挙げて「避難情報の把握と早めの行動、そして日ごろの備えを心掛けてほしい」と語った。
新たに盛り込まれたコロナ感染症対策では、公共施設などに多くの市民が集まる事態を想定し「避難先は市指定の避難所だけに限らない」と強調。安全な避難先として親戚や友人宅などの活用を提案した。
また、マスクの着用、うがい・手洗い、手指の消毒、30分に1回を目安にした換気など基本的な感染予防策について、近所間で助け合う「共助」を強調。「自分だけではなく大切な家族や友人、仲間を守るために重要」と話した。
町内会長の猪股瑞彦さん(74)は「防災も感染症防止も日頃から意識し、備える心掛けが重要と考え、開催を模索してきた」と力を込める。同会防災部長の加藤隆夫さん(69)も「自分を守ることが地域を守ることにつながるという意識を共有することが大切」と述べた。
講座の開催に当たっては、町内会側が自主的に午前と午後の2回に分け、会場の消毒や換気を実施。市の担当者はこれらの取り組みを評価するとともに「今後も要望に応じて、感染症対策を盛り込んだ防災出前講座を実施していきたい」と話している。