胆振総合振興局は、新型コロナウイルス感染予防のため道民に注意喚起する際、胆振管内全体ではなく保健所ごとの発生状況で判断する方針に切り替えた。よりきめ細かく、踏み込んだ発信を目指した措置だが、感染者が居住地の非公表を希望した場合は保健所からの呼び掛けは困難。実効性の高い注意喚起とプライバシー保護を両立させる難しさは残りそうだ。
同振興局の注意喚起の方針転換は2日付。苫小牧市内で23日開かれた胆振地域づくり連携会議(東胆振ブロック)で、花岡祐志局長が改めて考え方を説明した。
道は8月下旬、感染状況を踏まえて5段階の警戒ステージを設定。各ステージで道民や事業所などに協力を要請する内容を決めた。最も警戒度が低いステージ1で「振興局による注意喚起」を行うこととなっているが、胆振総合振興局は、苫小牧保健所管轄の東胆振1市4町と、室蘭保健所の西胆振3市3町でエリアを分け、注意喚起の必要性を判断することを決めた。
注意喚起の基準は各保健所管内で(1)週当たりの新規感染者が4人以上(2)集団感染(1カ所で5人以上の感染者が出るケース)の発生―とした。呼び掛けは「苫小牧保健所管内の皆さんには、新北海道スタイルの実践をお願いします」といった分かりやすいメッセージ形式で、発令期間はおおむね14日間を想定している。
しかし感染者が居住地の非公表を希望した場合、管轄する保健所単位ではなく、胆振管内全域への発信とする可能性もある。花岡局長は「住民にとってどのような情報が有益で、誹謗(ひぼう)中傷につながらないか。その線引きができたらよいと思っている」と述べ、情報の出し方に理解を求めた。
同振興局は6月、「経路不明の新規感染者が2人以上」の旧基準に従って、胆振管内に21日間の注意報を発令した。この方式はなくなる。
今月2日の新基準設定以降、注意喚起をした例はない。