21日は「敬老の日」―。苫小牧市内では毎年、各町内会が当日やその前後に敬老会などを開いているが、今年は新型コロナウイルス感染予防の観点から中止せざるを得ない状況が続く。そんな中、祝う会の規模を縮小したり、対象の高齢者に記念品を贈ったりするなど工夫しながら節目を迎えるところもある。
市町内会連合会は7月下旬から8月にかけ、市内の82町内会を対象に緊急アンケートを実施。69団体(84・1%)が回答し、敬老会を実施するのは6団体。44団体は開催を見送るが、このうち38団体は記念品配布などを検討、または実施している。
敬老会を中止した柏木町町内会は今月5日、対象者約830人の自宅に長寿を祝う品として1000円分の商品券を届けた。豊川町内会も今月中旬から対象者497人に順次、厚真産「さくら米」を記念品として贈っている。
しらかば東町内会は16、17両日、市の高齢者支援事業助成金を活用し、75歳以上の会員約250人に三星(本社苫小牧市糸井)の菓子の詰め合わせを届けた。福祉部員と民生委員・児童委員の約10人が各家庭を回り、「コロナウイルスに負けないで、お体をご自愛ください」のメッセージカードを添えて手渡した。福祉部長の水谷三枝子さん(71)は「少しでも長寿をお祝いする気持ちを届けたくて、コロナ対策を徹底するなど細心の注意を払いながら行った」と話す。
また、拓勇東町内会は代替催事として、車に乗車したままお祝い膳やお祝い酒などを手渡しする「ドライブスルー長寿を祝う会」を20日に実施する。事前に希望者を募ったところ130人から申し込みがあったといい、当日は会場の拓勇小学校に車で立ち寄ってもらい、町内会役員らが祝いの品を贈る計画だ。
これに対し、敬老会を開く町内会は十分なコロナ対策を施した上で行う。
大町寿町内会は13日に規模を縮小して実施。日新草笛町内会は「引きこもりがちな高齢者に少しでも外出してもらい、地域住民と顔を合わせる機会をつくりたい」といい、密を避けるため参加者を2班に分け、1回当たりの人数を抑えて21日に開催する予定という。
市町内会連合会は町内会の活動自粛が長期化していることを受け、地域交流の機会が失われないよう、8月にコロナ流行下における活動指針を作成。各町内会に活用を呼び掛けるが、感染した場合に重篤化が懸念される高齢者の会員が多いため、開催可否は「コロナの動向も見ながら各町内会で判断してほしい」(谷岡裕司会長)としている。