スウェーデンの女子アイスホッケーリーグ・SDHLのルレオに所属するFW大澤ちほ(28)=ダイナックス=はチームに合流するため8月29日に日本をたった。日本代表「スマイルジャパン」の中心的選手は北欧強豪クラブの一員としても3年目を迎える。出国を前に「チームの優勝に貢献できるよう全力プレーを見せたい」と意気込んでいた。
大澤が初めて海外リーグに挑戦したのは、2015年。米国・女子リーグのビクトリーホンダに1シーズン在籍。翌年に帰国し、道路建設ペリグリンを経て、18年にルレオに入団した。
SDHLは10チームが加盟し、ルレオは18~19シーズンまでに2連覇を果たした。カナダやフィンランドなどから集まった選手もメンバーに加わっていて、入団当時を大澤は「レベルの高いチームで、各国の代表選手も多く、刺激的だった」と回顧。今もその思いを強めている。
女子アイスホッケー先進国としてスウェーデンの代表は常に世界の上位陣一角を占めてきた。リーグ全体のレベルの高さも実感。体格やプレーの質の違いのみならず、2000人台の観客が詰め掛ける女子の試合が相次ぐことにも驚いたという。「大観衆の中でプレーするのは気持ちがいい」。注目を浴びつつ、プレーする喜びを口にした。
19~20シーズンは自身のけがのアクシデントと、新型コロナウイルスの影響に直面した。昨年7月に苫小牧であったスマイルジャパン合宿中に、右足アキレスけんを断裂。12月に復帰したが、北欧でのレギュラーシーズンでは12試合出場の2ゴール、3アシストにとどまった。
チームはレギュラーシーズンを2位で終え、上位8チームからスタートしたプレーオフで最多なら5戦あるファイナル進出を果たし、レギュラーシーズン1位のHV71と対戦して初戦を2―3で落とした。その後、新型コロナウイルス感染広がりの影響でシリーズは中断し、「優勝チームなし」のままシーズンが幕を閉じた。大澤は「3連覇が懸かっていて、チームは気合が入っていただけに、残念だった。仕方のないことなので次のシーズンに目を向けたい」と前向きに語った。
今月開幕するSDHL20~21シーズンでは、得点に絡むプレーを個人の旗印にしたい考え。苫小牧で過ごした期間、代表の合宿もストップしていたが筋力トレーニングに注力。母校の苫小牧東高校アイスホッケー部の練習にも参加し、男子高校生相手に「海外勢を想定した練習ができた」と話す。
当面の目標は、18~19シーズンに達成した8を超すゴール数を記録することだ。大澤は体格差がある選手に対する戦法としてプレー各局面でのスピード勝負を挙げ、「自信がある。走り負けない機動力を生かすことができれば」と語った。
初戦は、昨季のプレーオフファイナルで激突したHV71と。打倒ライバルに満を持していて「開幕から120%の力を出してチームの勝利に貢献したい」。決意を新たにしていた。