夏季北海道高校野球大会南北海道大会が3~9日、札幌円山球場で開かれた。新型コロナウイルスの影響で中止になった夏の甲子園と関連地方大会の代替大会。室蘭、札幌、小樽、函館の各支部大会を勝ち抜いた16校がトーナメント戦を繰り広げ、駒大苫小牧が4強入り。苫小牧中央、鵡川も各戦で存在感を見せた。室蘭支部勢の奮闘を振り返る。
駒大苫は、昨年の南大会でもエース番号「1」を付け、ベスト4に貢献した投手北嶋洸太(3年)が1回戦から快投。札幌新川打線を4安打12奪三振で封じ、7―0の七回コールド勝ちを後押しすると、苫中央との2回戦では「粘り強く投げれば勝機は必ず来る」と、2点を先行されながらも中盤以降立ち直り、チームに流れを引き寄せた。
ただ、北嶋は3試合連続で先発し、札幌国際情報との準決勝では苫中央戦時に右肘を痛めたこともあり、七回登板後に無念の降板。「状態が悪いのは言い訳にできない。準決勝を戦う難しさを改めて感じた」と悔しがった。
打線は、苫中央の左腕根本悠楓(3年)、国際情報の原田航介(同)ら道内トップクラスの投手と相次ぎ対戦したが、3試合でチーム打率3割2分5厘と健闘。特に2回戦、準決勝の2試合で4安打3打点した6番兒島健介(3年)の好打が光った。また、犠打飛が3試合で計14個と堅実さもあった。
苫中央は、支部大会でチーム打率3割2分9厘を記録した打線に元気がなかった。野手陣で打点を挙げたのは、知内との1回戦で2点適時打を放った小田皓太(3年)のみ。南大会のチーム打率は2割6厘と大きく落ち込んだ。
一方、プロ注目のエース根本は投打に活躍を見せた。圧巻だったのは駒大苫戦。相手エース北嶋との4度目の対戦で、二回に高めに浮いた変化球を見逃さず本塁打を放つと、四回にも適時二塁打で自らを援護した。「後ろにつなぐことだけを考えていた」と言う。
投げては15三振を奪う力投を見せたが、7安打されたほか五つの四死球を与えたのは痛かった。それでも「仲間に恵まれた3年間だった」と試合後はすがすがしい表情を見せた。
鵡川は、立命館慶祥との1回戦で三回表を終え1―6と大量リードを許した。重苦しい雰囲気を一掃したのは、この試合先発登板したエース稲葉美徳(3年)。同回裏の2死一、二塁で「自分で返すしかない」とバックスクリーン横に3点本塁打を放った。
息を吹き返したチームは七回に一時勝ち越し。直後の八回に大量点を奪われ勝利には届かなかったが、「今まで経験したことのないゲーム展開で、やればできるんだということを示してくれた」と鬼海将一監督は選手たちの頑張りをたたえた。