苫小牧工業高等専門学校職員の箭子(やこ)涼太さん(28)=苫小牧市明徳町=は、昨年12月に東京で開かれた第41期全国アマチュア王将位大会で初優勝した。全国の地区大会を勝ち抜いた実力者たちを破り、日本一に輝いた箭子さんは「うれしい半面、反省も残る。もっと研究を重ねて実力を高めたい」と語った。 大会は囲碁・将棋チャンネル、日本将棋連盟主催。同連盟の創立100周年記念大会として同月7、8日に開催。地区大会の勝者17人と招待選手7人が出場し、各ブロックのリーグ戦上位2人の計12人が、トーナメント形式の本戦で頂点を目指した。 同連盟苫小牧支部会員で本道代表の箭子さんは同王将位大会の全国大会出場は初めて。「大きなプレッシャーを感じないよう、穏やかな気持ちを心掛けた」と話し、本戦でも落ち着いて実力を発揮した。 決勝戦では、前回優勝者で東京地区代表の相川浩治さんと対決。優勝経験者の猛攻をかわすのが精いっぱいで、何度も負け直前まで追い詰められたという。それでも一手、また一手と粘っているうちに、わずかながら勝機を見いだした。持ち時間が少なくなった後半はスピード勝負となり、250手を超える長丁場の末に相手を下した。 箭子さんは「北海道の将棋関係者も喜んでくれてうれしかったが、防戦一方だったのは反省点。優勝できたのは運がよかった部分も大きい」と厳しい自己評価。それでも、将棋の魅力を語る際は「長い歴史があるにもかかわらず、勝ち方が画一化されておらず、個性豊かな戦法で楽しめるところ」と笑顔を見せる。 同大会の優勝者と準優勝者は例年、プロ銀河戦の出場権を得ている。出場がかなえば「プロ棋士に迫るような将棋を指したい」と目を輝かせた。