登場してくるセットの中にフェースオフがうまく、縦横左右に走って献身的に攻守に励み、スティック一閃(いっせん)のシュート力もあるセンターがいるとポーランド選手にはまさしく脅威の重しがのし掛かる。日本の前田が第2戦でそんな役割を存分に果たした。
その前の試合でフランスが中国から勝ち点3を奪い、同様に第3ピリオドまでに勝てば、五輪出場が決まる日本の第2戦となったポーランド戦。第1ピリオドの5分すぎに三浦からの折り返しで送られてきたパックをGK正面へ進入してトラップせずにワンタイムで打ち返し、今大会初ゴールした。機先を制する流れをつくり、猛攻の口火を切った立役者は「スコアしたい気持ちがあった。先制点でいい流れをつくれた」と言うと笑みがはじけた。
このときは機動力豊かで、相手の警戒対象になっている輪島が敵をかく乱中との読みがあり、的中。チャンスの瞬間、守り手は前方に2人位置したが気もそぞろ。自分にしっかり対応はしてこなかった。
会場、白鳥アリーナ(現ネピアアイスアリーナ)開業の年だった1996年生まれの歴戦の苫小牧っ子が見せたプレーが、その銀盤上でさえた。「この大会に自分の調子にピークは持ってこれた」と胸を張った。
次回五輪出場を決めた後、最終日の9日にはアジアのライバル中国も4―1でねじふせた。先制のラインメート輪島のゴールをアシスト。「3戦で目標の『圧倒して勝つ』ことはできたと思う」と9日に語った一方、「世界のトップレベルと戦う。切符をつかんだ今シーズンより、努力してかからないといけない」。28歳は個人、そして組織のレベルアップを誓った。