「のぞき見る興奮を」 中村扇雀

  • undefined, 芸BS
  • 2025年6月4日

 日本芸術文化振興会主催の「6月歌舞伎鑑賞教室」で「土屋主税(ちから)」が上演される。赤穂浪士の討ち入りを巡るエピソードを描いた忠臣蔵外伝で、学生ら初心者向けの鑑賞教室で取り上げるのは初めて。あだ討ちの成就を待ち望む旗本、主税を勤める中村扇雀は記者会見で「日本人の魂が潜んでいる。若い人に伝えたい」と語った。

 祖父の初代中村鴈治郎(1860~1935年)が得意とし、家の芸として代々継承してきた大切な演目。「偉大な先祖の芸を残すことが子孫である私の宿命。名優、初代鴈治郎を今によみがえらせることを目指す」

 広く知られた忠臣蔵だが「次に何が起こるか分かる芝居をしてはつまらない」と強調。「目の前で進行する事件を、のぞき見る興奮を客席で感じられないと演劇じゃない」と熱っぽく話した。

こんな記事も読まれています

ニュースカレンダー

紙面ビューアー