政府は6日、2026年度以降の防災・減災、国土強靱(きょうじん)化に関する新たな実施中期計画を閣議決定した。5年間の事業規模は20兆円強。15兆円程度とする現行計画を上回る額を確保した。上下水道など老朽化が深刻なインフラ対策のほか、南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害への備えを強化する。
閣議に先立ち、首相官邸で開かれた国土強靱化推進本部で、本部長の石破茂首相は「特に資機材の充実や避難所の環境整備などについては、できるだけ早期に完了させる。関係府省庁が一丸となって強力に取り組みを進めてほしい」と関係閣僚に指示した。
新計画では、老朽化する上下水道や道路の耐震化などに10兆6000億円程度、気候変動の影響を踏まえた河川改修や堤防整備などに5兆8000億円程度を投じる。避難所環境の改善や備蓄の充実といった地域防災力強化には1兆8000億円程度を充てる。
重点施策として、昨年の能登半島地震を踏まえ、災害時に孤立しやすい半島での防災強化を挙げた。また、埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没を受け、上下水道管の戦略的な維持管理や更新に取り組む。
新計画は、25年度末に終了する現行の「5カ年加速化対策」の後継に当たる。23年に成立した改正国土強靱化基本法で、実施する施策や事業規模を盛り込んだ中期計画が法定化された。