スマホ、SNSとの付き合い方は難しい オーストラリア議会で昨年11月、16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決された。運用の仕方など詳細は今後決まるが、中毒性が高いとされる特定のSNSを禁止する方向で議論が交わされた。
この規制に賛否はあるものの、子どものスマートフォン(スマホ)に関しては「これ以上、親任せにしないで」という声が各国で高まっている。
背景にはスマホ絡みのいじめや性暴力、ゲーム依存など、さまざまな問題がある。多くの家庭で、1日の使用時間を決める、子どもが閲覧できるサイトを制限する、といった対策を講じているが、子どもは簡単に抜け道を見つけてしまう。さらに子どもの年齢が上がるにつれて、親が関与するのは一層、難しくなる。
かつて、子どもに悪影響だと批判されていた漫画やゲームは後になって価値が認められ、現在では観光資源にもなっている。一方、スマホやSNSは、利便性や交流の機会の創出といったプラス面が先に評価され、マイナス面が本格的に問題視されるようになったのはここ数年。
最近では、限定品と偽って購買意欲をあおったり、自動的に有料プランに移行したりする「ダークパターン」と呼ばれる手法で、利用者の判断を誤らせるサイトまで増え、警鐘が鳴らされている。
サービスを提供する企業は今後、負の側面への予防策を講じることが急務だ。子どもへの影響を評価する際は、子どもと保護者の声を誠実に聞くことが求められる。
(文・日本総合研究所チーフスペシャリスト村上芽、イラスト・冬川智子)