苫小牧や白老など、胆振太平洋エリアの海岸(ショア)からルアーで狙うサクラマスは、6月に入って各ポイントでわずかながら釣果が出だした。今季は、早くから沖合の遊漁船が群れを捕捉しても安定した釣果がなく、海岸も振るわない状況が目立っていただけに今後の良化に期待をしたい。
サクラマスは、河川のヤマベが降海して成長し、産卵のために戻って来る。このため北海道漁業調整規則などにより、内水面(河川、湖沼など)での採捕は全面禁止。川に遡上(そじょう)したサクラマスを釣ることはできない。
一方、海は一部の河川に河口周辺のエリアや期間の規制、沖合なら船のライセンス制が時期によって導入されているが、禁止期間後や規制エリア外なら海でサクラマス釣りを楽しめる。ヤマベが海で大きく成長し回帰してくるだけに、人気は極めて高い。
苫小牧周辺の海岸では例年、3月から4月に苫小牧港・東港辺りで先行してサクラマス釣りが始まり、次第に西で釣果が上がるようになる。5月に入ると弁天の海岸や元町などでも釣れだし、産卵のための遡上が近くなるシーズン終盤の6月から7月には錦岡、樽前、白老の海岸で本格化する。
ところが今季は早くから振るわない状況が続いていた。昨季は4月早々に釣果があった東港の有料釣り施設・一本防波堤でも今年4月は公式の釣果はなく、正式にカウントされたのは1カ月以上遅い5月11日。例年ならこの時期、防波堤脇の海岸でもサクラマスの群れのもじりや跳ね(ライズ)が頻繁に見られるが、今年は魚影自体が薄い。元町一帯でも6月に入ってようやく魚の姿が見えだした印象だ。
白老方面も6月に入ってぽつらぽつら釣果の知らせが届き始めた。この週末は30組ほどの釣り人が夜明け前から通称・オカモト前などの砂浜に入釣。釣果を手にした人はまだ少ないが、全体で数匹上がっていた。型はやや小ぶりのものが目立っている。
このうち午前4時すぎに中型のサクラマスを釣り上げた男性は、沖に投じたルアーが着水した直後にヒットしたという。「白老はきょうが初釣行。最近になって釣れたと聞いたので来てみた。ここは相性がいいんです」と喜んだ。
この釣り人は今季すでにサクラマスを7匹を釣っていて、この日の魚が8匹目。多くは4月に日本海のポイントで釣ったという。太平洋エリアの今後の釣果に期待したいと話した。
釣果は渋いものの、沖で時折、ライズするサクラマスの水しぶきを確認できることから群れがいるのは確実。シーズンは終盤ながら、チャンス自体はまだまだありそうだ。