今年の2月から森林組合で働いています。森林組合は、山林の所有者に代わって苗木を植えて手入れをし、大きくなるまで育てたら伐採して跡地にまた植林するという森林資源の循環利用を進めていく林業の担い手です。
私が林業に出合ったのは40年ほど前のことです。子どもの頃から野山の草花が大好きで、大学生になると固有の花々を求めて道内各地の山に出掛けていたので、もっと専門的に森林について学びたいと農学部林学科に進みました。
そこで初めて、これまで自分が訪れていた森林が、実は林業の現場でもあったことに気付かされたのです。自然への愛着が強かった故に、木を伐採することへの抵抗感もありました。けれども、登山道から樹木や花を見るだけでなく、ささやぶの中に分け入って一本一本の木と向き合い、周りの木々との関係性や将来の姿を想像し、人間が手を貸すことで多様な森林に育てていく林業の奥深さに次第に魅かれるようになりました。
卒業後も林業に関われる仕事を志望し、林業職の道職員になりました。以来、30年以上にわたって北海道の森林行政に携わりながら、地域の森林と人々の暮らしとの関わりを見てきました。2年前に退職して札幌市の会社に勤めていましたが、このたび、ご縁により苫小牧広域森林組合に転職し、同時に組合の本所があるむかわ町穂別に引っ越して来ました。山に囲まれた小さな町で、森林を身近に感じながら働ける日々が何よりうれしいです。
(苫小牧広域森林組合専務理事・むかわ)